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Lancet誌から
eGFR60未満とACR1.1以上は独立した死亡の予測因子

 慢性腎疾患の診断とステージ判定に用いる推算糸球体濾過量eGFR)とアルブミン尿レベルの基準値は、ガイドラインごとに様々に設定されている。

 Chronic Kidney Disease Prognosis Consortiumの研究者たちは、eGFRとアルブミン尿がそれぞれ個々に、またこれらを組み合わせた場合に、死亡リスクとアウトカムをどの程度予測できるのかを評価するメタ分析を実施。それらの測定値を腎疾患リスクの予測や、慢性腎疾患の診断、ステージ判定に用いるための定量的なデータを得た。論文は、Lancet誌2010年6月12日号に掲載された。

 著者らは、PubMedに1966年から2009年7月までに登録された研究の中から、心血管リスクが高い人々などに限定した研究ではなく、一般集団を対象とする研究を探した。1000人以上の患者を登録し、ベースラインのeGFR値と尿アルブミン/クレアチニン比(ACR)または尿試験紙法による尿蛋白検出の状態(-、±、1+、2+以上)を記載しており、50例以上の全死因死亡または心血管死亡を報告していた研究21件を選んだ。北米、欧州、アジア、オーストラリアで行われていたそれらの研究は、計123万4182人を登録していた。中央値は7.9年、546万2687人-年の追跡で、全死因死亡の報告は4万5584例、心血管死亡の報告は9637例だった。

 Cox比例ハザードモデルを用いて、eGFRまたはACR、もしくはこれら両方と全死因死亡、心血管死亡の関係を評価し、交絡因子候補で調整したハザード比を求めた。

 最初に、eGFR値とACRが記録されていた14件の研究に登録された10万5872人(年齢の中央値は61歳、73万577人-年の追跡が行われた)を分析対象にした。

 eGFRが75mL/分/1.73m2から105mL/分/1.73m2の間は、全死因死亡リスクは一定だった。それより値が低くなるにつれて、死亡リスクは指数関数的に上昇した。

 95mL/分1.73m2を参照とすると、60mL/分/1.73m2の患者では全死因死亡の調整ハザード比は1.18(95%信頼区間1.05-1.32)、45mL/分/1.73m2では1.57(1.39-1.78)、15mL/分/1.73m2では3.14(2.39-4.13)となった。

 また、105mL/分/1.73m2以上では死亡リスクが若干上昇していたことから、横軸をeGFR値を、縦軸をハザード比としてグラフを書くと、カーブはひらがなの「し」の形に近くなった。

 心血管死亡リスクについてもほぼ同様の結果になったが、105mL/分/1.73m2以上の人々のリスク上昇は明瞭ではなかった。

 著者らは、eGFR高値における死亡リスク上昇については今後確認する必要がある、と述べている。

 次に、ACRと全死因死亡リスクの関係を調べた。ACRが0.6mg/mmolを参照とすると、全死因死亡の調整ハザード比は、1.1mg/mmolで1.20(1.15-1.26)、3.4mg/mmolでは1.63(1.50-1.77)、33.9mg/mmolは2.22(1.97-2.51)だった。

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