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BMJ誌から
麻疹の移行抗体、生後6カ月時にはほぼ消失
ワクチン接種年齢に達しない乳児の多くに感染リスク

 妊娠中の母親から胎児へ移行した麻疹抗体が感染防御に必要なレベルを保つ期間は、母親に麻疹の自然感染歴がある場合は約4カ月、幼児期にワクチン接種歴があるだけの場合は約1カ月―。そんな前向き研究の結果を、ベルギーAntwerp大学のElke Leuridan氏らがBMJ誌2010年5月22日号に報告した。麻疹の感染防御にはワクチン接種が欠かせないが、今回得られた結果は、ワクチン接種年齢に達しない乳児の多くが、免疫のない状態にあることを明らかにした。

 乳児の麻疹感染は、死亡を含む重症化率が高い。WHO西太平洋地域事務局は、日本を含む西太平洋地域内で、2012年までに麻疹を撲滅するという目標を掲げている。

 今回著者らは、母親からの麻疹の移行抗体が0歳児に存在する期間を明らかにするため、ベルギーのアントワープ州の5病院で、18~40歳の妊婦を登録。207人の健康な女性と210人の乳児のペアを研究の対象とした。207人の女性のうち87人は幼年期に1回、麻疹のワクチン接種を受けていた(接種時の平均年齢は3.3歳、年齢の中央値は1.6歳)。残りの120人は自然感染歴を持っていた。

 母親と子供の麻疹に対するIgG抗体価はELISAにより測定した。分析したのは、妊娠36週に採取した母親の血液標本、臍帯血と、生後1カ月、3カ月、6カ月または9カ月、12カ月に子供から採取した血液標本だ。300mIU/mLを超える抗体価を有する場合に感染防御が可能と見なした。

 妊娠36週の時点で、ワクチン接種群の母親の26%と自然感染群の母親の8%は感染を防御できるレベルの抗体を持っていなかった。

 ワクチン接種群の母親のIgG抗体価は、自然感染群に比べ有意に低かった。幾何平均力価は、それぞれ779mIU/mL(95%信頼区間581-1045mIU/mL)と2687mIU/mL(2126-3373mIU/mL)(P<0.001)だった。母親の抗体価と臍帯血、すなわち新生児の抗体価は、高い相関を示した(R=0.93)。また、その後の抗体価も、ワクチン接種群の母親から生まれた乳児の方が、自然感染歴のある母親の乳児より有意に低かった。有意差は追跡期間中維持された(P<0.001)。

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