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Lancet誌から
乳癌診断に造影MRIを加えても再手術は減らない

 通常の診断過程を経て広範囲局所切除術の適用が決まった乳癌患者に、さらにMRI検査を行ってより適切な術式を選べば、転帰が向上するのでは―そう考えた研究者たちが、無作為化比較試験を行った。しかし、得られた結果は、こうした患者にMRIの追加が不要であることを示唆した。英Hull Royal InfirmaryのLindsay Turnbull氏らがLancet誌2010年2月13日号に報告した。

 英国のNHS乳癌スクリーニングプログラム(NHS BSP)が掲げている目標の1つが、外科的治療を受けた乳癌患者の中で再手術を要する人の割合を10%未満に抑えることだ。しかし、その目標は未だ達成できていない。

 再手術率を低下させるためには、最初の手術時に適切な範囲を切除することが重要だ。しかし、マンモグラフィー検査で乳房濃度が高い女性の腫瘍を正確に検出することは難しい。近年、MRIを用いれば、病巣をより正確に検出できるという報告が複数あった。

 そこで著者らは、MRI検査を追加すれば再手術率を下げられる可能性があると考え、原発性乳癌の患者を対象に、トリプルアセスメントと、これに造影MRIを加えた診断法の有効性を、再手術率などを指標に比較し、費用対効果も検討するオープンラベルの平行群間比較試験を行った。

 トリプルアセスメントとは、臨床的診断(視触診など)、イメージング診断(マンモグラフィーと超音波検査)、病理学的診断(穿刺吸引細胞診またはコアバイオプシー)の3つの結果を総合的に評価する方法で、英国では最も標準的に用いられている。

 英国内の45施設で、トリプルアセスメントにより原発乳癌と診断され、広範囲局所切除術の適用が計画されていた18歳以上の患者1623人を登録。無作為に、ガドリニウム増強MRIを施行(816人、平均年齢54.0歳)またはMRI施行なし(807人、51.0歳)に割り付けた。

 MRI群でMRIの結果がトリプルアセスメントに基づく判断と一致しない場合には、様々な専門家を集めたチームによる再検討を行い、手術が当初の計画より遅れないことを念頭に置きながら生検を追加実施するなどして術式を決定した。

 主要エンドポイントは、割り付けから6カ月以内に再手術(部分切除または乳房切除)が必要になった患者、または、最初の手術時に回避されるべき乳房切除術が行われた(摘出された組織が乳房切除は不要であることを示した)患者の割合に設定。分析はintention to treatで行った。

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