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Lancet誌から
集中治療部門では鎮静を行わない方が患者に利益
機械的人工換気が必要な日数が減る

 集中治療部門に入院した重症患者には、標準的に、機械的人工換気と持続的鎮静が適用される。近年、1日に1回鎮静薬投与を中断し覚醒させる方法の利益が報告されているが、デンマークSouthern Denmark大学のThomas Strom氏らは、鎮静そのものを行わない方が機械的人工換気を必要とする日数を短縮でき、患者の利益が大きい可能性を示した。論文は、Lancet誌2010年2月6日号に掲載された。

 鎮静の継続はいろいろな問題を生む。その1つが、患者の精神的な状態を確認できないためにCTなどで脳の状態を調べる必要が出てくることだ。

 2000年以降、複数の研究により、毎日1回鎮静薬の投与を中断し、自発覚醒を待って投与を再開する方法を用いると、機械的人工換気を必要とする期間が短縮できること、これにより人工呼吸器関連の有害事象が減少すること、また、脳のCTスキャンの実施回数が減少することが明らかになっている。さらに、毎日の鎮静中断によりPTSDリスクが低下するとの報告もある。

 ほかの多くの医療施設と異なり、同大学に付属するOdense病院の一般集中治療部門では、99年から、機械的人工換気が必要な重症患者に鎮静を行わないことを原則としてきた。必要に応じてモルヒネのボーラス投与は行うが、鎮静薬の静注は行わない。

 そこで著者らは、日常的に行っている鎮静なしの管理と、患者に有益と報告されている毎日の鎮静中断のいずれが、機械的人工換気を必要とする期間を短縮できるかを調べることにした。

 この非盲検試験は、18歳以上の患者で鎮静が必須ではない人々を対象に同病院で行われた。07年4月から08年12月までに428人の患者をスクリーニングし、機械的人工換気が24時間を超えて必要と見なされた140人を登録した。

 挿管から24時間以内に、無作為に、鎮静なし(70人、介入群、鎮痛薬のみ静注)または鎮静中断(70人、対照群、当初48時間は20mg/mLプロポフォール、その後は1mg/mLミダゾラムを静注、1日1回覚醒まで投与を中断)に割り付けた。両群にモルヒネ(2.5mgまたは5mg)のボーラス投与を行った。

 介入群については、患者が苦痛を訴えれば主治医が原因を調べて対処し、それでも苦痛がやまない場合には6時間だけ鎮静を誘導した。

 対照群の患者には、毎朝鎮静薬の投与を中止し覚醒(目を開ける、担当医の方を見る、手を握る、舌を出す、の4つのうちの3つが実施可能と定義)を確認後、鎮静薬の投与を再開することを繰り返した。

 両群の患者に(対照群の場合は覚醒時に)、可能なら毎日ベッドから出ていすに座るよう勧めた。

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