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Lancet誌から
クロピドグレルとPPIを併用しても心血管イベントは増えず
2件の無作為化試験のデータを改めて分析した結果

 クロピドグレルのようなチエノピリジン系薬剤を投与する患者に、消化管出血リスク低減を目的としてプロトンポンプ阻害薬PPI)を処方すると、PPI、特にオメプラゾールが抗血小板作用を阻害する可能性が懸念されている(関連記事はこちら)。しかし、米Brigham and Women's HospitalのMichelle L O’Donoghue氏らが2件の無作為化試験のデータを改めて分析したところ、PPIを併用しても、心血管死亡、心筋梗塞、脳卒中は増えないことが明らかになった。詳細は、Lancet誌2009年9月19日号に報告された。

 これまで、PPIがクロピドグレルの作用を低下させるかどうかについて調べた研究は複数あったが、一貫した結果は得られていなかった。著者らは、クロピドグレルまたはプラスグレルを投与されている患者のPPI使用と血小板機能の関係、そして臨床転帰との関係を明らかにするため、2件の無作為化試験のデータを改めて分析した。

 対象となったのは、PRINCIPLE-TIMI 44試験とTRITON-TIMI 38試験だ。いずれも登録患者に対するPPIの処方は主治医の判断に任されていた。

 PRINCIPLE-TIMI 44試験では、待機的PCIを受ける201人の患者が、無作為にプラスグレル(102人)または高用量クロピドグレル(99人)に割り付けられた。プラスグレルの負荷用量は60mg、維持用量は10mg/日、クロピドグレルの負荷用量は600mg、維持用量は150mg/日。

 血小板凝集を20μMのADPで惹起し、最大凝集率を測定、ベースラインの最大凝集率と比較して凝集抑制率を求めた。

 割り付け時にPPIを使用していた患者は53人(26.4%)。PPI使用者と非使用者の間で、ベースラインの血小板凝集率に差はなかった。PPI使用者のうち、28人がクロピドグレル、25人がプラスグレルに割り付けられていた。

 主要アウトカムは、試験薬負荷用量投与から6時間後の血小板凝集抑制率に設定。

 クロピドグレル600mgの投与から6時間後の血小板凝集抑制率の平均は、PPI使用者が23.2±19.5%、PPI非使用者では35.2±20.9%で、PPI使用者で有意に低かった(p=0.02)。この傾向は投与後30分の時点から24時間後まで一貫して認められた。

 一方、プラスグレル60mgを投与したグループでは、投与後30分の時点のみ、凝集抑制率がPPI使用者で有意に低かったが、投与6時間後の血小板凝集抑制率の差は小さく、有意ではなかった(69.6±13.5%と76.7±12.4%、p=0.054)。

 なお、クロピドグレルに反応しない患者の割合は、PPI使用者で有意に高かった。15日目ではPPI使用者の50%だったのに対し、非使用者では7.9%(p=0.012)だった。プラスグレルでも同様で、15日目にこの薬剤に反応しない患者はPPI使用者で10.0%、非使用者では0%(p=0.025)だった。

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