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Lancet誌から
糖尿病患者と高齢者ではPCIよりCABG
多枝病変例における死亡リスクを比較したメタ分析の結果

 冠動脈疾患多枝病変例に対する治療の選択肢として、冠動脈バイパス術CABG)と経皮的冠動脈インターベンションPCI)が挙げられる。米国Stanford大医学部のMark A Halatky氏らは、全死因死亡を指標として、これらの治療の利益が有意に異なるサブグループが存在するかどうかを調べるため、メタ分析を行った。得られた結果は、糖尿病患者と高齢者の場合には、PCIよりCABGの方が死亡リスクが低いことを示唆した。詳細は、Lancet誌2009年4月4日号に報告された。

 CABGとPCIを比較する無作為化試験は、少なからず行われている。しかし、臨床的に重要なサブグループの患者にCABGまたはPCIを適用した場合に、死亡率に差が生じるかどうかを長期に渡って調べた研究はない。メタ分析を行おうにも、ベースラインの患者特性が詳細に記述されている無作為化試験は少なかった。

 そこで著者らは、臨床試験を実施した研究者に研究への参加を要請し、共同研究にすることで登録患者に関する詳細なデータを収集、それらをプールして分析する方法を用いた。

 まず、文献データベース(Medline、Embase、コクランデータベース)に2006年8月までに登録された研究から、無作為化試験で、多枝病変の患者をCABGまたはPCIに割り付け、治療後3年以上追跡している研究を12件選出。主任研究者に連絡し、この研究への参加を依頼した。10件の研究に登録された7812人の患者について、下記の情報が得られた。

 人口統計学的情報(年齢、性別、人種)、心血管危険因子(糖尿病、喫煙、高血圧、脂質異常症)、臨床所見(安定または不安定な症状、心筋梗塞歴、心不全歴、PCI歴、CABG歴、末梢血管疾患歴)、血管造影所見(左室機能異常、病変枝数、左前下行枝近位部の病変)、割り付けられた治療、追跡期間中のイベント発生(死亡、心筋梗塞、脳卒中、血行再建術再施行、最終受診の時期、狭心症)。

 主要アウトカム評価指標は、追跡期間中の全死因死亡に設定。著者らの関心は、CABGまたはPCI後の生存が、ベースラインの患者特性の影響を受けるかどうかに向けられた。割り付けられた介入の全死因死亡に対する影響と、全死因死亡と患者特性の関係はintention-to-treatで分析した。

 年齢の中央値は61歳。389人(5%)は75歳以上(80歳以上は19人のみ)だった。ほとんどの患者が割り付けから60日以内に治療を受けていた。

 割り付けから90日以内の死亡は、CABG群3889人中75人(2%)、PCI群3923人中74人(2%)で有意な差はなかった(p=0.89)。

 90日以内の死亡または心筋梗塞を合わせた複合エンドポイントの発生について評価していた研究は9件。CABG群3695人中イベント発生は240人(6%)、PCI群では3725人中201人(5%)で、PCI群で若干少なかった(p=0.045)。

 90日以内の脳卒中について報告していたのは7件で、CABG群2268人中26人(1%)、PCI群2269人中12人(0.5%)と有意差が認められた(p=0.02)。

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