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Lancet誌から
切除可能直腸癌には術前放射線治療が有効
切除範囲が適切なら3年局所再発率は1%

 直腸癌の外科的切除術の前後に、放射線治療は必要か。この疑問を検証すべく無作為化試験を行った英国St James's University HospitalのDavid Sebag-Montefiore氏らは、術前5日間の放射線照射は3年間の局所再発リスクを有意に低減することを明らかにした。

 また、同じ研究で、切除範囲と再発リスクの関係を調べた英国Leeds大学のPhil Quirke氏らは、全腸間膜を適切に切除すれば、局所再発リスクはさらに下がることを明らかにした。2件の研究はいずれも、Lancet誌2009年3月7日号に報告された。

 切除後に再発した直腸癌の治療は難しい。予後は不良で、生存期間の中央値は12~18カ月にとどまる。再発を防ぐために、1990年代には術後の放射線治療と化学療法が用いられていたが、その後、外科的切除の技術が向上し、手術のみでも再発率は低下した。

 そこで、術前の放射線治療、術後の化学放射線治療は必要か、という疑問が出てきた。

 これまでに報告された組織病理学的な研究は、切断端から1mm以内にがん細胞が見つかる場合は再発リスクが高いことを示しており、そうした患者にのみ術後の化学放射線治療を行えばよいのではないか、と考えられるようになった。

 そこで著者らは、術前の短期的な放射線治療と、術後にハイリスク者のみに行う化学放射線治療の局所再発リスク低減効果を比較する無作為化試験を計画。4カ国の80医療機関(英国69カ所、カナダ9カ所、南アフリカ1カ所、ニュージーランド1カ所)で行った。

 1998年3月16日から2005年8月5日に、転移のない、切除可能な直腸腺腫の患者1350人(年齢の中央値は65歳、73%が男性)を登録。短期間の術前放射線治療(674人)、または術後の選択的化学放射線治療(676人、切離断端に癌細胞が認められた患者のみに実施)に無作為に割り付けた。

 術前放射線治療群には、25Gy/5分割を5日間連続で照射。終了から7日以内に手術を行うことを推奨した。実際に中央値4日で手術が行われた。割り付けから手術までは中央値27日だった。このグループに断端陽性患者は57人(10%)含まれていた。

 術後化学放射線治療群については、切離断端に癌細胞が認められた患者77人(12%)に45Gy/25分割+5フルオロウラシル投与を実施。手術から化学放射線治療開始までの日数の中央値は57日、割り付けから手術までの中央値は19日だった。

 術後の化学療法は、術前放射線治療群の40%、術後化学放射線治療群の45%に適用された。

 主要アウトカム評価指標は、局所再発(遠隔転移の有無は問わない)、2次評価指標は、全生存期間、無病生存期間などに設定。分析はintention-to-treatで行った。

 TNM分類では、術前療法群の31%がI、28%がII、40%がIII、1%がIVと判定された。術後療法群ではそれぞれ22%、34%、43%、1%だった。

 術式は直腸全間膜切除術(TME)の適用を推奨(プロコールで指定したわけではない)、実際に93%に適用された。試験期間を通じた断端陰性は89%だった。陰性断端率は時間経過と共に上昇していた。

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