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Lancet誌から
ディスペプシアに最初に投与すべきは制酸薬?PPI?
制酸薬、H2ブロッカー、PPIの順番が費用対効果が高い

 ディスペプシア(消化不良/胃腸症)に対する最善な初期治療戦略とはどのようなものか。

 この疑問を明らかにするため、オランダRadboud大学のCorine J van Marrewijk氏らは、制酸薬H2受容体拮抗薬H2ブロッカー)、プロトンポンプ阻害薬PPI)を、この順番でそれぞれ4週間ずつ処方する「ステップアップ方式」と、PPI、H2ブロッカー、制酸薬の順番に処方する「ステップダウン方式」の有効性と費用対効果を比較。両方式の有効性は同等だが、治療コストはステップアップ方式の方が低いことを示した。詳細は、Lancet誌2009年1月17日号に報告された。

 ディスペプシアでプライマリケアを訪れる患者は多いにもかかわらず、費用対効果が最も高い治療戦略は明らかではない。各国の治療ガイドラインも、少しずつ異なる戦略を推奨している。

 新規診断ディスペプシア患者に対し、プライマリケアで行うことのできる最善の治療を明らかにするために、著者らは、二重盲検の無作為化試験DIAMOND(Dutch Study on Initial Management of Newly Diagnosed Dyspepsia)を2003年10月から2006年1月に行った。

 ディスペプシアは、「上腹部中央に痛みまたは不快感があり、症状は上部消化管に由来すると医師が判断した患者で、胃酸逆流、胸焼け、悪心、腹部膨満などを伴うこともある」と定義した。

 オランダの一般開業医150人によって登録された18歳以上の新規診断ディスペプシア患者664人を、制酸薬(1日4回)、H2ブロッカー(1日2回)、PPI(1日1回)をこの順番で投与するステップアップ群(341人)と、反対の順番で投与するステップダウン群(323人)に二重盲検法で無作為に割り付けた。各群に最初のステップの薬剤を4週間投与し、症状が持続しているか4週間のうちに再発した患者のみに対し、次のステップの薬剤を処方した。

 ベースラインで血液を採取し、H. pylori感染の有無などを調べた。人口統計学的情報や医療歴なども入手した。その後、質問票(ディスペプシアの症状のタイプと重症度、QOLなどを調べる)とステップ1の治療薬を手渡し、4週後の受診を予定していても症状が消失していればキャンセルするよう指示した。

 なお、担当医には、4週が経過する以前に症状が悪化、または不快な副作用が発生した場合には、その時点で治療を次のステップに進めることを許可した。また、追跡期間中に再発した患者、いずれの試験薬にも反応しなかった患者については、担当医が通常行う治療を適用するとした。

 主要アウトカム評価指標は、6カ月の時点の十分な症状の緩和(治療成功)と費用対効果に設定。追跡完了者を対象にintention-to-treatで分析した。

 6カ月間の追跡を完了し、評価に必要なデータが揃っていたのは、ステップアップ群332人(割り付けられた患者の97%)、ステップダウン群は313人(同97%)だった。

 ステップアップ群では、334人がステップ1の治療を受け、202人がステップ2の治療を受け、118人がステップ3の治療を受けた。ステップダウン群ではそれぞれ319人、170人、113人だった。

 6カ月時の治療成功は、ステップアップ群238人(72%)、ステップダウン群219人(70%)で、オッズ比に有意差は見られなかった(0.92、95%信頼区間0.7-1.3)。

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