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Lancet誌から
期待のHIVワクチン、フェーズ2試験が早期中止に
抗原特異的なIFNγの産生は誘導するも、感染予防効果示せず

 アデノウイルス血清型5型(Ad5)をベクターとするHIVワクチンのフェーズ2試験の結果が、米San Francisco公衆衛生局のSusan P Buchbinder氏らにより報告された。Lancet誌2008年11月29日号に掲載された論文によると、前臨床試験とフェーズ1試験では、細胞性免疫を強力に誘導できることが示されていたものの、フェーズ2試験では、HIV-1感染を予防せず、感染後のウイルス量低減も見られないという、予想に反する結果となった。

 HIVワクチンの開発には、これまでに大きな努力が注がれてきた。感染者の中で長期にわたって進行が見られない人々を対象とする研究と、ヒト以外の霊長類モデルを用いた実験の結果は、ウイルス複製と病気の進行の制御における細胞性免疫の重要性を示している。そうした知見に基づき、近年は細胞性免疫を誘導するHIVワクチンへの期待が高まっていた。

 今回報告されたのは、Ad5をベクターとしてHIV-1のgag/pol/nef遺伝子を送達するHIVワクチンのフェーズ2試験の結果だ。Ad5をベクターとするプロトタイプHIVワクチンについては、前臨床試験とフェーズ1試験で、細胞性免疫を強力に誘導できることが示されていた。

 二重盲検フェーズ2試験は、北米、カリブ海沿岸、南米、オーストラリアの34施設で、HIV-1感染リスクの高い行動のある18~45歳の非感染者を対象に行われた。登録は2004年12月に始まり、当初はAd5抗体価が低い(200倍以下)人々を1500人登録する予定だった(Ad5はありふれたウイルスであるため、一般集団の抗体保有率は高い)。しかし、フェーズ1試験でAd5抗体価が高い人々にも免疫反応が期待できることを示すデータが得られたため、2005年7月に対象を拡大、Ad5抗体価が200倍超の人々も登録することにした。登録は2007年3月まで行った。

 3000人のHIV-1血清陰性者を、性別、Ad5に対する抗体価(18倍以下=検出限界以下、19~200倍、201~1000倍、1000倍超)、登録施設で層別化し、無作為にMRKAd5 HIV-1 gag/pol/nefワクチン(1494人)または偽薬(1506人)に割り付けた。

 Ad5抗体価200倍以下の男性は1061人、うち525人がワクチン投与を受けた。Ad5抗体価が200倍超の男性は783人、ワクチン投与は394人。同様に女性では、200倍以下が445人でワクチン群は219人、200倍超は690人、ワクチン群は346人だった。

 接種は3回で、登録当日と4週後、26週後に行った。追跡は208週まで継続した。

 主な目的は、ワクチンの安全性と忍容性、そしてAd5抗体価が200倍以下のグループに対する有効性の評価にあった。有効性のエンドポイントはHIV-1感染率(6カ月ごとに測定)に、ウイルス量のエンドポイントはセットポイント(感染後上昇した血中ウイルス量が減少に転じたのちに低下が止まった時点)のHIV-1ウイルス量(診断から約3カ月後に測定)に設定された。分析はper-protocolとmodified intention-to-treatで行った。

 プロトコール遵守率は高く、3回の接種を完了した患者は全体の94%だった。追跡からの脱落は、ワクチン接種群104人(7%)、偽薬群104人(7%)に留まった。

 ワクチン接種群から25%(354人)を無作為に抽出して、8週時に抗原特異的なインターフェロンγ産生細胞数を測定するインターフェロンγELISPOT(enzyme-linked immunospot)反応を調べたところ、75%(267人)が陽性となった。反応率はAd5抗体価が200以下のグループで高かった。

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