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Lancet誌から
非心臓手術の周術期にβ遮断薬の投与は控えるべき
33件の無作為化試験のメタ分析の結果

 米心臓病学会(ACC)と米心臓協会(AHA)の周術期評価のためのガイドライン2007年版は、非心臓手術周術期のβ遮断薬投与を推奨している。だが、これを支持しない結果を報告している臨床試験が複数あることから、米Brigham and Women's HospitalのSripal Bangalore氏らは、β遮断薬の有効性と安全性を評価した無作為化試験のメタ分析を実施した。得られた結果は、周術期使用の利益を示さなかった。詳細は、Lancet誌電子版に2008年11月12日に報告された。

 著者らは、PubMedとEmbase、コクランライブラリーから、非心臓手術を受ける患者を無作為に介入群(β遮断薬を投与)と対照群(β遮断薬以外の薬剤、偽薬、または治療無し)に割り付け、術後30日間の安全性と有効性を比較した研究を選出した。

 有効性については、30日間の全死因死亡、心血管死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心不全、心筋虚血のデータを、安全性については、周術期除脈、高血圧、気管支痙攣に関するデータを抽出し、メタ分析を行った。

 33件の無作為化試験が条件を満たした。それらは、合計1万2306人を登録し、6311人(51%)をβ遮断薬に、5995人(49%)を対照群に割り付けていた。

 β遮断薬の用量や投与開始時期、投与期間(14件が1日以上、残りは1日未満)は試験によって異なっていた。有効性と安全性の評価に用いられていた定義も様々だった。

 個々の研究の質を、コクラン共同計画が推奨するバイアスリスク評価法を用いて検討したところ、バイアスリスクが低い(質が高い)と見なされた研究は13件だった。

 33件の研究を対象とする分析で、β遮断薬は、全死因死亡、心血管死亡、心不全のリスクに影響を与えないことが明らかになった。オッズ比はそれぞれ1.20(95%信頼区間0.95-1.51)、1.15(0.85-1.56)、1.20(0.95-1.52)。

 一方、非致死的心筋梗塞はオッズ比0.65(0.54-0.79)で、介入によるリスク低下が認められた。治療必要数(NNT)は63。心筋虚血もオッズ比0.36(0.26-0.50)で、NNTは16となった。

 しかし、非致死的脳卒中のリスクは、介入群で有意に上昇していた。オッズ比は2.16(1.27-3.68)、加害必要数(NNH)は275だった。

 β遮断薬の利益を示していたのは、主にバイアスリスクが高い(質が低い)研究だった。

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