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Lancet誌から
破水と感染徴候のない自然早産への抗菌薬は避けるべき
出生児の7歳時の機能障害リスクを高める可能性

 先進国では、早産とその後遺症の予防が社会的にも重要な課題になっている。英Leicester大学のSara Kenyon氏らは、早産妊婦に対する抗菌薬投与の出生児に対する影響を調べた無作為化試験(ORACLE IとORACLE II)の対象者を追跡し、児が7歳になった時点での、抗菌薬の使用と児の健康状態の関係を評価した。得られた結果は、前期破水がなく、臨床的に子宮内感染が見られない早産妊婦に対するエリスロマイシン投与は、児の機能障害などのリスクを高めることを示した。結果をまとめた2本の論文は、Lancet誌2008年10月11日号に報告された。

 ORACLE Iは、前期破水したが臨床的な感染は見られない妊婦、ORACLE IIは、早産の徴候を示すが破水はなく臨床的な感染も見られず、結果として自然早産した妊婦を対象にした試験。いずれも、10日間または出産までの間(いずれか短い方)、抗菌薬(エリスロマイシン、アモキシシリン-クラブラン酸カリウム合剤〔アモキシクラブ〕、両剤併用のいずれか)もしくは偽薬を投与した。著者らは今回、それぞれの出生児の7歳時の健康アウトカムを偽薬群と比較する、ORACLE Children Study I(OCS I)とORACLE Children Study II(OCS II)を実施した。

 OCS Iは、出生時には障害がないように見えた早産児でも、成長するにつれて行動や学習面の問題が表面化することが少なくない点に着目して行われた。

 オリジナルのORACLE I試験は、前期破水した妊婦へのエリスロマイシン投与の有用性を示し、同薬の投与が推奨されるきっかけを作った。著者らは、周産期にこれらの抗菌薬に曝露した小児が7歳になった時点での、介入の長期的な影響を調べた。

 ORACLE I試験の被験者のうち、追跡の条件を満たした女性は4148人。それらの女性を母とする小児4378人のうち、子供の健康の評価を目的とする親向け質問票に十分に回答がなされていたのは3298人(75%)だった。

 7歳時の機能障害は、mark III Multi-Attribute Health Status分類において、あらゆるレベル(重症、中症、軽症)の障害が存在する場合とした。

 機能障害を有する小児の割合は、エリスロマイシン(アモキシクラブ併用の有無にかかわらない)投与群の母親から生まれた集団と、エリスロマイシン非投与群を母に持つ集団の間で差がなかった。それぞれ1551人中594人(38.3%)と1620人中655人(40.4%)で、オッズ比は0.91(95%信頼区間0.79-1.05)。

 同様に、アモキシクラブ(エリスロマイシン併用の有無にかかわらない)投与群の母親から生まれた集団と、非投与群の母から生まれた集団の間でも、機能障害を有する小児の割合に差はなかった。1587人中645人(40.6%)と1584人中604人(38.1%)で、オッズ比は1.11(0.96-1.28)。

 周産期の抗菌薬使用は、小児の7歳までの死亡リスク、死亡またはあらゆる機能障害を合わせた複合イベントのリスクにも影響を与えていなかった。

 どちらの抗菌薬も行動的な問題(情動障害、行為障害、過活動、向社会的行動、家族への影響)、特定疾患の罹患(中枢神経系の病気、発達障害、呼吸器症状、入院、糖尿病、腸疾患など)に有意な影響を与えていなかった。

 英国在住の小児の学習到達度を調べるナショナルカリキュラムテスト(key stage one)を7歳時に受けた結果をもとに、教育アウトカムも評価したが、偽薬群との間に、読み書き計算能力の達成度に差は認められなかった。

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