日経メディカルのロゴ画像

Lancet誌から
心不全患者にスタチンを投与しても予後に影響なし
GISSI-HF試験の結果(その2)

 標準的な治療を受けている慢性心不全患者にスタチンを投与すると、死亡率低下などの臨床利益がもたらされるのだろうか。心不全患者におけるスタチンの効果を偽薬と比較する無作為化試験を行ったGISSI-HF研究グループは、スタチンの安全性に問題はないものの、臨床利益もないことを明らかにした。詳細は、Lancet誌電子版に2008年8月31日に報告された。

 近年、スタチンは、脂質降下作用にとどまらず、抗炎症、抗肥大、抗線維化、抗酸化作用や、血管内皮機能改善、神経ホルモン活性の阻害、不整脈の予防といった多面的な作用を持つと考えられるようになった。それらの作用の多くが心不全に関係するが、スタチンが心不全患者に利益を与えることを示唆した大規模観察研究、小規模な前向き研究、無作為化試験データの事後解析などはいずれも、方法論的な弱点を持っていた。そこで著者らは、二重盲検のプラセボ対照無作為化試験を行い、心不全患者に対するロスバスタチンの安全性と有効性を調べることにした。

 2002年8月6日から2005年2月28日までに、イタリア国内の326カ所の心臓専門医療機関と31カ所の内科医療機関において、18歳以上で、NYHAクラスII-IVの慢性心不全(心不全の原因と左室駆出分画測定結果を問わない)の患者を登録。スタチン禁忌の患者とスタチンを使用していた患者などを除く4631人を、無作為にロスバスタチン10mg/日群(2314人)または偽薬群(2317人)に割り付けた。

 著者らはこの研究と並行して、同じ集団を対象にn-3系多価不飽和脂肪酸(PUFA)1g/日と偽薬を比較する研究を行った(GISSI-HF試験の結果その1参照)。

 登録患者の全員に対し、慢性心不全に有効が示されている薬剤(アンジオテンシン変換酵素〔ACE〕阻害薬、β遮断薬、利尿薬、ジギタリス、スピロノラクトンなど)を用いた標準的な治療が行われた。

 主要エンドポイントは全死因死亡と、全死因死亡または心血管イベントによる入院に設定。2次エンドポイントは心血管死亡、心血管死亡またはあらゆる原因による入院、心臓突然死、あらゆる原因による入院、心血管イベントによる入院、心筋梗塞、脳卒中とした。分析はintention-to-treatで行った。

 追跡は2008年3月31日まで行われた。追跡期間の中央値は3.9年だった。適切な同意を得ていなかった患者が介入群に29人、対照群に28人存在していたため、これらを除く2285人(平均年齢68歳、女性が23.8%)と2289人(68歳、21.4%)を分析対象とした。

この記事を読んでいる人におすすめ