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Lancet誌から
テルミサルタンの心血管イベント抑制効果は“modest”
ACE阻害薬非忍容患者に対するTRANSCEND試験の結果

 心血管リスクが高く、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬に非忍容を示す患者に、アンジオテンシンII受容体拮抗薬ARB)のテルミサルタンを長期的に投与したTRANSCEND試験の結果、心血管イベントの抑制効果はあまり大きくないことが示唆された。カナダMcMaster大学のSalim Yusuf氏らが、詳細をLancet誌電子版に2008年8月31日に報告した。

 ACE阻害薬は主要な心血管イベントを抑制する。だが、最大で約20%の患者が非忍容を示す。最も多い理由は咳嗽だが、低血圧症状、腎機能障害、血管神経性浮腫なども非忍容を引き起こす。非忍容は東洋系の女性に多い。

 そこで著者らは、心血管疾患、または臓器障害を伴う糖尿病があり、ACE阻害薬に非忍容を示す患者に対し、通常の治療に加えてARBのテルミサルタンを長期的に追加投与した場合の心血管イベント抑制効果を、プラセボと比較した。

 患者登録は、40カ国630医療機関で2001年11月から2004年5月に行われた。冠疾患、末梢動脈疾患、脳血管疾患の患者、または臓器障害を伴う糖尿病の患者を登録、ACE阻害薬に忍容性を示す患者をONTARGET試験の対象に、非忍容を示す患者をTRANSCEND試験の被験者にした。

 3週間のランイン期間(単盲検で当初1週間はプラセボ、2週目からはテルミサルタンを投与)を経て、条件を満たした5926人を選び、無作為にテルミサルタン80mg/日群(2954人、平均年齢66.9歳。43.3%が女性)またはプラセボ群(2972人、平均年齢66.9歳、42.6%が女性)に割り付けた。

 主要アウトカム評価指標は、心血管死亡、心筋梗塞、脳卒中、心不全による入院を合わせた複合イベントに設定。2次評価指標は、HOPE試験の主要評価項目と同一となる心血管死亡、心筋梗塞、脳卒中を合わせた複合イベントのほか、心不全の新規発症、糖尿病の新規発症などとした。

 追跡期間の中央値は56カ月。分析はintention-to-treatで行い、割り付けられた患者全員を有効性分析の対象にした。

 割り付け時に、確立された有効な治療を受けていた患者が多かった。スタチンはテルミサルタン群55.7%、プラセボ群54.7%、β遮断薬はそれぞれ59.3%、57.2%、アスピリンは75.0%と74.4%、クロピドグレルまたはチクロピジンは10.8%と10.6%、抗血小板薬は79.8%と79.0%、利尿薬は33.2%と32.8%、カルシウム拮抗薬は39.9%と40.4%に投与されていた。

 試験終了時に、オープンラベルでARBを投与されていた患者は、テルミサルタン群5.8%、プラセボ群7.6%だった。降圧薬もプラセボ群で投与頻度が高かった。利尿薬は33.7%と40.0%(p<0.0001)、カルシウム拮抗薬は38.0%と45.9%(p<0.0001)、β遮断薬は56.6%と59.0%(p=0.081)。スタチン(p=0.588)と抗血小板薬(p=0.831)の投与頻度には差はなかった。

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