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Lancet誌から
有効な抗ウイルス治療を受けていればコンドームなしの性行為も安全か?

2008/08/21

 有効な抗ウイルス治療を受けているHIV感染者は、性行為によりパートナーを感染させることはないのだろうか。

 先ごろスイス連邦HIV/AIDS委員会(Swiss Federal Commission for HIV/AIDS)が、「有効な抗ウイルス治療を受けているHIV感染者は、性行為によりパートナーを感染させることはない」との見解を示した。これに対し今回、オーストラリアNew South Wales 大学のDavid P Wilson氏らは、血漿ウイルス量が10コピー/mLであったとしても、10年間にわたってコンドームなしの性行為を継続すれば、集団におけるHIV感染率の上昇が起こる危険性があることを示した。詳細は、Lancet誌2008年7月26日号に掲載された。

 スイス連邦HIV/AIDS委員会が述べたように、抗ウイルス治療により血漿中のHIV RNA量が40コピー/mL未満を維持しており、他の生殖器感染症がない感染者の場合、コンドームの使用なしでもパートナーが感染するリスクは低いことを示すエビデンスが実際に存在する。しかし、リスクが非常に低いとしても、ゼロであるとは考えにくい。また、同委員会の声明が掲げている条件の一部を満たしていないにもかかわらずコンドームを使用しないカップルが増えれば、HIV感染率は上昇することになる。

 そこで著者らは、血漿中のウイルス量が検出限界以下の感染者とそのパートナーが、コンドームなしで性行為を続けた場合に集団に及ぶ影響を推測すべく、利用可能なデータを基にモデルを作成した。

 例えば、ウガンダRakaiで行われた研究は、一方のみがHIVに感染している異性間カップルを追跡し、コンドームなしの性行為による感染の頻度と感染者の血漿HIV量の関係を調べて、ウイルス量が10倍になるごとに感染リスクは2.45倍(95%信頼区間1.85-3.26)になると報告していた。それ以上の情報はなかったため、著者らは、検出限界以下も含むすべてのウイルス量について、また、男性から女性、女性から男性、男性間の感染のすべてに、この関係が当てはまると仮定した。

 また、複数の経験的研究が、治療を受けていない感染者と非感染者の性行為1回当たりのHIV感染確率を報告していた。

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