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Lancet誌から
早期胃癌の内視鏡的切除後のピロリ除菌は有効
異時性胃癌リスクが3分の1に

 早期胃癌内視鏡的切除を受けた患者にヘリコバクター・ピロリ除菌を実施した場合としなかった場合の、3年間の胃癌リスクを比較する無作為化試験を行った結果、除菌の有効性が明らかになった。山形県立中央病院の深瀬和利氏らの報告で、詳細はLancet誌2008年8月2日号に掲載された。

 疫学的な研究と動物実験では、ピロリ菌と胃癌の関係が証明されている。しかし、ヒトを対象に除菌の胃癌予防における効果を調べた研究では、一貫した結果は得られていない。無作為化試験のメタ分析も行われたが、胃癌のオッズ比は有意にならなかった(0.67、95%信頼区間0.42-1.07)。

 著者らは今回、早期胃癌で内視鏡的切除を受けた患者を対象に、異時性胃癌(1年以上経てから新たな癌が初発部位とは別の場所に発生)に対するピロリ除菌の影響を調べる無作為化試験を行った。

 多施設試験は、オープンラベルで行われた。Japan Gast Study Groupに参加している51病院で、20~79歳の早期胃癌患者544人を登録。ここには、新規に診断され内視鏡的治療が計画された患者(新規診断群)と、内視鏡的切除後の追跡を受けている患者(切除後追跡群)が含まれる。

 ピロリ感染の有無は、生検標本を用いて確認し、感染がない患者は除外された。またベースラインで、内視鏡検査により胃に癌がないことが確認されている。544人を無作為にピロリ除菌(272人)または除菌なし(対照群、272人)に割り付けた。

 除菌は、ランソプラゾール30mg、アモキシシリン750mg、クラリスロマイシン200mgをすべて1日2回、1週間継続投与する方法で行った。対照群には除菌は行わず、標準治療を適用した。

 割り付けから6カ月後、12カ月後、24カ月後、36カ月後に内視鏡検査を実施。異時性癌と再発(初発部位と同じ場所に癌が発生)を検出した。新規発生の癌か、治療時に残存した癌かは、生検または内視鏡手術で得た標本の組織学的検査により確認した。

 主要エンドポイントは、異時性癌の診断に設定、分析はintention-to-treat(ITT)で行った。

 除菌群の患者の75%(203人)は除菌に成功。うち新規診断群は88人(72%)、切除後追跡群は115人(77%)だった。

 3年間の追跡で異時性胃癌発生は33人、除菌群は9人、対照群は24人だった。

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