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Lancet誌から
全世界で25人に1人が大手術を受けている
医療費高支出国と低支出国との「格差」が明確に

 全世界で行われている大手術の数を推測した結果、全世界で25人に1人が大手術を受けている状況が明らかになった。ただし全手術件数の4分の3は、国民1人当たりの年間医療費が401ドル以上の国で行われており、低所得国の国民にも手術を受ける機会を提供するための公衆衛生戦略の構築が緊要であることも分かった。米国Harvard公衆衛生大学院のThomas G Weiser氏らの報告で、詳細はLancet誌2008年7月12日号に掲載された。

 著者らは、外科手術の適用が増加していること、その死亡率や合併症発生率が高いことに着目した。安全性向上には実態の把握が欠かせないことから、世界で行われている大手術の数を推測し、利用機会の差を調べることにした。

 WHO加盟192カ国の人口、健康、経済にかかわるデータを、WHOの「ワールドヘルスレポート2006」から収集。総人口、平均寿命、HIV/エイズによる死亡率、人口当たりの医師数や看護師数、病床数、国内総生産、識字率、生活費が1日1ドル未満の集団が人口に占める割合、米ドル換算した1人当たりの年間医療費などのデータを取得。国連レポートから、都市部に住む国民の割合、60歳以上の割合、15歳未満の割合などのデータを得た。

 国民1人当たりの年間医療費に基づいて、世界の国々を高支出国(1000ドル超)、中支出国(401~1000ドル)、低支出国(101~400ドル)、最低支出国(100ドル以下)の4群に分けた。

 大手術は、病院の手術室で行われる組織の切開、切除、処置、縫合などを含む介入で、通常は痛みの管理に局所麻酔または全身麻酔、深い鎮静などを必要とするものと定義した。

 大手術の件数に関するデータは、政府機関、統計機関、疫学研究機関、研究報告、外科治療に関する政策決定にかかわる人々などから得た。情報が入手できない国についても件数を推測するためのモデルを作成、人口学的情報を利用して全世界の外科手術実施数を計算した。

 192カ国中56カ国(29%)で外科治療に関するデータが得られた。国内全域のデータが入手できたのは48カ国だった。人口10万人当たりの手術報告件数は、エチオピアの148件からハンガリーの2万3369件まで幅広かったが、手術の件数と1人当たりの年間医療費の間には明らかな相関が見られた。1人当たりの医療費が100ドル以下の国では、大手術の平均実施率は年間人口10万人当たり295件、101~400ドルでは2255件、401~1000ドルは4248件、1000ドル超の国では1万1110件だった(P<0.0001)。

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