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Lancet誌から
アバカビルとジダノシンはHIV感染者の心筋梗塞リスクを高める
ジドブジン、スタブジン、ラミブジンは心筋梗塞リスクを高めず

 抗HIV薬ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬NRTI)と心筋梗塞リスクの関係を調べる大規模前向き観察研究の結果、NRTIの中で、アバカビルジダノシンの6カ月以内の使用は、リスクをそれぞれ49%と90%高めることが示された。D:A:D研究グループのデンマークCopenhagen大学のJens D Lundgren氏らの報告で、詳細はLancet誌2008年4月26日号に掲載された。

 抗ウイルス薬の薬物療法により、HIV感染者の生存期間は延長された。しかし、患者の年齢が上昇するにつれて、HIV感染者の死因の10%超が心血管疾患という状況になり、心筋梗塞リスクが問題になっている。

 プロテアーゼ阻害薬(PI)は脂質異常症を引き起こす可能性があり、PIの継続的な使用は心筋梗塞リスクを上昇させることが明らかになっている。またNRTIの中でも、チミジンアナログジドブジンスタブジンについては、脂質異常症、耐糖能異常との関係が報告されており、心筋梗塞リスク上昇が疑われてきた。そこで著者らは、NRTIと心筋梗塞リスクの関係を調べる大規模前向き観察研究を行った。

 D:A:D (Data Collection on Adverse Events of Anti-HIV Drugs)は、2007年2月1日までに、欧米と豪州の212施設でHIV感染者3万3347人を登録。著者らは、これらの患者を対象に、ポワソン回帰モデルを用いて、ジドブジン、ジダノシン、スタブジン、ラミブジン、アバカビルの累積使用、最近の使用(現在の使用または過去6カ月間の使用)、過去の使用と、心筋梗塞罹患の関係を調べた。

 追跡期間の中央値は5.1年。15万7912人-年の追跡で、517人が心筋梗塞を発症していた。イベント発生率は1000人-年当たり3.3。この517人中509人に抗ウイルス薬の使用歴があった。心筋梗塞なし群では2万9629人(90%)が抗ウイルス薬使用歴を持っていた。

 心筋梗塞罹患者は、罹患しなかった患者に比べ、より高齢で喫煙率が高く、糖尿病、高血圧、リポジストロフィー、脂質異常症が多く、心血管疾患の家族歴を有する頻度が高かった。また、冠疾患10年リスクも高かった。リスクの計算に必要なデータが揃っていた患者のみについて評価したところ、心筋梗塞発症者のうちの120人(33%)はハイリスクで、134人(37%)が中リスクだった。心筋梗塞を起こさなかった患者群では、ハイリスク者は全体の6%、中リスク者も18%に留まった。

 心筋梗塞の罹患率と、ジドブジン、スタブジン、ラミブジンの累積使用(1年未満、1~2年、2~3年、3~4年、4~5年、5~6年、6年超)を調べたところ、使用期間が長くなっても心筋梗塞リスクは有意に上昇せず、最近の使用の間には有意な関係は見られなかった。

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