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Lancet誌から
肺塞栓の除外診断に本当に必要な検査とは?
Dダイマー測定とマルチスライスCTを実施すれば静脈超音波検査は不要

2008/05/02
大西 淳子=医学ジャーナリスト

 肺塞栓の診断には、臨床評価に続いてDダイマー測定、下腿の静脈超音波検査マルチスライスCTMSCT)検査などを順番に実施するプロトコールが採用されているが、これらの検査は本当に必要なのだろうか。今回、肺塞栓ではないと診断されてから3カ月以内に発生した血栓塞栓イベントの頻度を指標として各検査の必要性を検討した結果、Dダイマー測定とMSCTを実施した場合は静脈超音波検査は不要であることが示唆された。スイスGeneva大学病院のMarc Righini氏らの報告で、詳細はLancet誌2008年4月19日号に掲載された。

 これまでに行われた研究は、MSCTは単独で肺塞栓の除外診断に適用できる可能性を示唆していた。一方、超音波検査の併用が有効かどうかについては、明確な情報がなかった。そこで著者らは、除外診断の精度において、Dダイマー測定とMSCTを組み合わせる方法は、それらに圧縮静脈超音波検査を加えた方法に劣らないと仮定し、前向きの多施設非劣性試験を行った。

 データ収集は2005年1月10日から2006年8月30日に実施。欧州の総合病院または教育病院6施設の救急部門を訪れた患者のうち、改訂Genevaスコアに基づいて臨床的に肺塞栓である可能性が高いと見なされ、CT禁忌ではない1819人を登録した。そして903人をDダイマー測定+MSCT(DD-CT法)、916人をDダイマー測定+圧縮静脈超音波検査+MSCT(DD-US-CT法)に割り付けた。

 改訂Genevaスコアは、年齢、深部静脈血栓症または肺塞栓の既往、骨折による手術から1カ月以内などの危険因子や、片側性の下腿痛、喀血などの症状、心拍数などの臨床徴候をそれぞれポイントで表し、合計ポイントが0-3を低リスク、4-10を中リスク、11以上をハイリスクとするもの。

 Dダイマー測定は、低リスク者と中リスク者に対してのみ行われた。これらの患者の場合、Dダイマー検査の結果に基づいて肺塞栓の除外診断が可能だからだ。Dダイマー値が500ng/mL超だった場合に次の検査を実施した。

 DD-US-CTグループには、静脈超音波検査を行い、近位深部静脈血栓症と判定された患者には抗凝固薬を投与して、次の検査(MSCT)は行わなかった。

 MSCT検査を受けて肺塞栓が確認された患者には治療を実施し、除外診断された患者は抗凝固薬を投与せずに追跡した。

  一方、Genevaスコアでハイリスクだった患者は、Dダイマー測定をせずに超音波検査を実施。近位深部静脈血栓症ではないと見なされた患者にMSCTを適用した。ここでも肺塞栓が否定されれば、肺血流・換気シンチグラフィ(V/Qスキャン)を行い、肺塞栓である可能性が高い場合には治療を実施した。診断が明確にならなかった患者には肺動脈造影を適用した。

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