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Lancet誌から
DV被害者は自殺念慮の頻度が高い
日本を含めた10カ国15地域での国際研究の結果

 世界保健機関WHO)が実施した、ドメスティックバイオレンスDV)と女性の健康に関する国際研究の結果、DVの被害経験のある女性は身体的な影響だけでなく、自殺念慮自殺企図の頻度も有意に高く、精神的な健康にも悪影響を及ぼしていることが示された。米国Program for Appropriate Technology in Health (PATH)のMary Ellsberg氏らの報告で、詳細はLancet誌2008年4月5日号に掲載された。

 過去10年間、DVが被害者の身体と心に及ぼす影響に向けられる関心が高まってきた。集団ベースの研究では、パートナーから身体的暴力を受けている女性の20~75%は外傷経験を持っていると報告されている。しかし身体的な暴力と性的な暴力は、外傷のみならず、婦人科疾患、望まぬ妊娠、様々な慢性疼痛症候群などを引き起こし、さらには精神面にも問題を生じさせることが報告されている。また、うつ、不安、恐怖、PTSD、自殺傾向、薬物またはアルコールの濫用などとの関係が示唆されていた。

 著者らは、パートナーからの暴力が女性の身体的、精神的な健康に及ぼす影響を、標準化された集団を対象に調べる国際的な調査を2000~2003年に10カ国15地域で実施した。

 対象となったのは、バングラデシュ、ブラジル、エチオピア、日本(1276人が参加)、ナミビア、ペルー、サモア、セルビアモンテネグロ、タイ、タンザニアの10カ国。15~49歳の女性2万4097人に面接調査し、現在または過去に親密な男性が存在する(存在した)かどうか尋ね、「存在する(存在した)」と答えた1万9568人を分析対象とした。

 パートナーから身体的または性的な暴力、もしくはこれら両方を受けた経験のある女性の頻度は15%(日本)から71%(エチオピア)と、国ごとに大きな差があった。

 すべての地域から集められたデータをプールして解析したところ、パートナーからの暴力の経験と有意に関係していたのは、自己申告された健康状態の悪さ(5段階評価で「非常に悪い」または「悪い」と回答:オッズ比1.6、95%信頼区間1.5-1.8)と、面接前4週間の特定の症状(歩行困難:オッズ比1.5、1.5-1.8、日常生活動作困難:オッズ比1.6、1.5-1.8、疼痛:オッズ比1.6、1.5-1.7、記憶の喪失:1.8、1.6-2.0、めまい:1.7、1.6-1.8、膣分泌物:1.8、1.7-20)だった(以上は調査地域、年齢、現在の配偶者の有無、教育歴で調整したオッズ比)。

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