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Lancet誌から
神経芽細胞腫マススクリーニングは有効だった
日本全体を対象とする後ろ向き研究の結果より

 日本で1984年から2003年まで行われた神経芽細胞腫マススクリーニングが、神経芽細胞腫の罹患と死亡にどのような影響を及ぼしたのかを後ろ向きに調べた結果、マススクリーニングが小児の死亡率減少をもたらしたことが示された。広島大教授の檜山英三氏らの報告で、詳細はLancet誌2008年4月5日号に掲載された。

 神経芽細胞腫は、局所に留まっている状態で発見し治療すれば予後は良いことが分かっている。そこで日本では、生後6カ月の全小児を対象に、1984年から2003年まで神経芽細胞腫のマススクリーニングが実施された。用いられたのは、神経芽細胞腫のマーカーとなる尿中のカテコールアミン代謝物を検出する検査で、家庭で標本を採取し郵送する方法で行われた。1989年までは、尿中バニールマンデル酸VMA)を質的に調べる方法、それ以降はHPLCを用いてVMAとホモバニリン酸HVA)を定量する方法が適用された。

 陽性判定はVMAまたはHVAが、年齢別の平均値に標準偏差の3倍を加えた値(単位はμg/mgクレアチニン)を超えた場合とし、最初の検査で陽性となった場合は再検査を行った。再検査で陽性となった場合は、医師の診断を受けることになっていた。そして神経芽細胞腫と診断された患者のステージはEvans分類に基づいて判定していた。

 検診の受診率は十分に高まったが、マススクリーニングで陽性となり腫瘍が発見されても観察しているうちに自然に退縮するケースがあるため、過剰診断だとの指摘があった。そして、幼児に対するマススクリーニングは、神経芽細胞腫の死亡率を減らせないとする2つの報告をきっかけに、政府は2003年、罹患率と死亡率の評価を行うことを条件に、神経芽細胞腫検査事業の休止を決めた。

 今回、著者らは、罹患率と死亡率を評価するため、生後6カ月時のマススクリーニングの有効性を罹患率と死亡率を指標に評価する後ろ向きの集団ベースのコホート研究を行った。

 対象は、1980~83年と1986~98年に、日本で生まれたすべての小児。1984~85年は検診の受診率が低かったため除外し、総数は2228万9695人となった。内訳は、マススクリーニング開始以前となる1980~83年に生まれた613万423人、定性的検査が行われていた1986~89年に生まれた529万412人、定量的検査が行われた1990~98年に生まれた1086万8860人。

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