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Lancet誌から
成人の鼻副鼻腔炎、抗菌薬投与は不要?
抗菌薬が有効だと判断できる徴候や症状は見付からず

 プライマリケアでは、鼻副鼻腔炎様の症状を訴える患者に抗菌薬が処方されることが多いが、抗菌薬の投与は有効なのだろうか。細菌性かウイルス性かが明確ではない成人の鼻副鼻腔炎患者を対象とする無作為化試験のメタ分析の結果、徴候や症状から抗菌薬が有効な患者を見いだすことは困難であり、ほとんどの場合、慎重な観察と対症療法で治癒に至ることが示された。スイスBasel大学病院のJim Young氏らの報告で、詳細はLancet誌2008年3月15日号に掲載された。

 米国では、受診理由の第3位が上気道感染で、それらの患者の約3割が鼻副鼻腔炎と診断され、80%に抗菌薬が投与されるという。欧州でも急性鼻副鼻腔炎と診断された患者の72~92%に抗菌薬が投与されている。

 プライマリケア医による抗菌薬の過剰な処方が続いている理由の一つは、鼻腔のウイルス感染と細菌感染の区別が難しいことにある。治療ガイドラインは、症状が7~10日続いた時点で抗菌薬を処方するよう求めているが、そこまで投与を待てない患者も少なくない。

 著者らは無作為化試験のメタ分析を行い、抗菌薬治療の全体的な効果を評価し、治療必要人数(NNT)の観点から、一般的な徴候や症状が、抗菌薬投与で利益を得られる患者を見分けるために役立つかどうか調べた。

 鼻副鼻腔炎様の症状(先に普通感冒があった、または、いったん改善した症状が悪化した、化膿性の鼻分泌物、片側性の顔面痛、歯痛、咀嚼痛、咽頭の化膿性分泌物など)を訴える成人患者を無作為に抗菌薬またはプラセボに割り付けた研究を各種データベースから選出した。

 10件の二重盲検試験が条件を満たし、それらは抗菌薬またはプラセボに割り付けられた患者が治癒したかどうかを8~10日目または14~15日の時点で評価していた。総合すると、評価時点の治癒のオッズ比は、プラセボ群に比べ抗菌薬群で1.35(95%信頼区間1.15-1.59)だった。

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