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入院患者の約半数に静脈血栓塞栓症リスクあり
予防法の適用は不十分

 入院患者のうち、静脈血栓塞栓症VTE)リスクを抱えている患者がどの程度存在するのかを世界32カ国358病院で調べた結果、VTEリスクは入院患者の半数以上に認められることが明らかになった。ただしVTE予防は半数程度の患者にしか行われていなかった。英国London King’s CollegeのAlexander T Cohen氏らの報告で、詳細はLancet誌2008年2月2日号に掲載された。

 急性疾患または外科手術のために入院した患者に一般に見られる合併症の一つがVTEだ。VTEは、血栓後症候群と慢性血栓塞栓性肺高血圧症のリスクを長期的に上昇させる。また、院内死亡の5~10%が肺塞栓に起因することから、VTEの予防は院内死亡を減らすために重要だ。しかし、予防は十分に行われているとはいえないのが現状だ。

 VTEリスクと予防の実態を国際的に把握すべく、著者らは、32カ国の急性期病院の入院患者を対象に、VTEリスクを持つ患者の割合と予防法の適用率を調べた。

 358病院(44%が大学病院)で、40歳以上の内科病棟入院患者(年齢の中央値は67歳)、18歳以上の外科病棟入院患者(全身麻酔または硬膜外麻酔を45分以上必要とする、大きな手術を受ける患者、年齢の中央値は59歳)のすべてについて、カルテからデータを抽出し、米国胸部疾患学会(ACCP)ガイドライン2004を使用して、VTEリスクを評価。さらに、推奨されている予防法が適用されたかどうか調べた。

 6万8183人の患者を登録。うち3万827人(45%)が外科病棟、3万7356人(55%)が内科病棟の入院患者だった。

 ACCPの基準に基づいて、VTEリスクありと判定されたのは、3万5329人(51.8%、95%信頼区間51.4-52.2、32カ国の最低は35.6%、最高は72.6%)。うち、外科病棟の患者は1万9842人(64.4%、63.8-64.9、44.1-80.2)、内科病棟の患者は1万5487人(41.5%、41.0-42.0、21.1-71.2)だった。

 内科病棟に入院前の患者が保有していた危険因子で多かったのは、慢性肺疾患(27%)と慢性心不全(25%)。外科病棟の患者では、肥満(10%)が最も多かった。

 入院後に一般に見られた危険因子は、安静臥床(内科で33%、外科39%)、排泄以外安静臥床(28%と23%)、集中治療室または重症集中ケア部門への入院(28%と23%)などだった。

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