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心不全に対する非特異的免疫修飾療法は有効か
NYHAがII度の患者と心筋梗塞歴なしの心不全患者には効果あり

 患者自身の血液を体外で酸化ストレス刺激した後に本人に戻す非特異的免疫修飾療法IMT)は、慢性心不全に有効なのだろうか。米国Methodist HospitalのGuillermo Torre-Amione氏らが行った無作為化試験の結果、ほとんどのエンドポイントは達成できなかったが、サブグループ解析においてニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類がII度の患者と心筋梗塞歴のない患者には有効であることが示された。詳細はLancet誌2008年1月19日号に掲載された。

 炎症のメディエーターが慢性心不全の発症と進行に関係することを示唆するエビデンスがあるが、特定のサイトカインを標的とする治療については、好ましいデータは得られていない。一方、ステロイドや免疫グロブリンを使用した治療や免疫吸着療法の有用性を示唆した小規模試験の結果が報告されており、著者らは、免疫反応を弱める、または、抗炎症経路を活性化する非特異的なアプローチが有効ではないかと考えた。

 そこで著者らは、73人の中-重症心不全患者を対象に行われたパイロット研究で、全死因死亡と入院が減少することが示されたIMTを収縮機能不全のあるNYHA II-IV度の心不全患者に適用する二重盲検の無作為化試験を実施した。

 用いられたIMTは、カナダVasogen社のCelacadeシステム(VC7000A自己血治療システム)を利用して、患者自身の血液を体外で酸化ストレスに曝してから本人に戻すというもの。患者から採取した静脈血10mLをデバイス内で一定レベルの酸化ストレス(温度42.5℃で酸素/オゾン混合ガスと紫外線に約20分間曝露)に曝す。これを局所麻酔した本人の臀部に筋注する。プラセボ群には、採血した血液でなく塩水を筋注。治療は外来で、当初2週間に3回、その後は月1回実施した。

 著者らは、酸化ストレスはアポトーシスを誘導し、アポトーシスは炎症を抑制すると主張している。そして今回の治療は、「酸化ストレスを経験した細胞は、免疫細胞からの抗炎症サイトカインの分泌を刺激、それらのサイトカインはナイーブT細胞を制御性T細胞に分化させる。これによりT1などの炎症性細胞の作用が阻害され、炎症性サイトカインのレベルが下がり、慢性的な炎症が抑制されると考えられる」と治療効果のメカニズムを説明している。

 7カ国(カナダ、デンマーク、ドイツ、イスラエル、ノルウェイ、ポーランド、米国)の177医療機関で、2003年6月~2005年5月に行われた試験の対象となったのは、NYHAでII-IV度の慢性心不全と診断され、過去12カ月間に心不全で入院、または、外来で薬剤(変力作用薬、脳性ナトリウム利尿ペプチド、利尿薬)の静注を受けた、左室駆出分画(LVEF)が30%以下、最適の治療(アンジオテンシン変換酵素阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗薬、またはそこにβ遮断薬、ジギタリス、利尿薬、アルドステロン拮抗薬などを併用も)を受けており、薬剤の用量が2週間以上変化していない18歳以上の患者。NYHAの分類でIII/IV度、LVEFが25%以下の患者については、過去12カ月間の心不全イベントという条件を満たさなくてもよいとした。

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