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マルチキナーゼ阻害薬スニチニブに心毒性?
長期投与には慎重な観察が必要

2007/12/30
大西 淳子=医学ジャーナリスト

 マルチキナーゼ阻害薬スニチニブは、欧米では、転移性腎細胞癌消化管間質腫瘍GIST)の治療薬として承認されており、日本でも臨床試験が進行中だ。米国Harvard大学医学部のTammy F Chu氏らは、転移性GIST患者を対象に行われたフェーズ1/2試験のデータを後ろ向きに調べ、承認された用量の長期投与で左室機能の低下や高血圧が見られること、患者の11%に心血管イベントが発生していたことを明らかにした。詳細はLancet誌2007年12月15日号に報告された。

 スニチニブについては心毒性に対する懸念が払拭されていないと考えた著者らは、イマチニブ抵抗性の転移性GISTに対するスニチニブの有効性を評価したフェーズ1/2試験で見られた心血管イベントについて調べた。複合心血管エンドポイントは、心臓死、心筋梗塞、うっ血性心不全とした。スニチニブの左室駆出率(LVEF)と血圧への影響も調べた。

 オープンラベル、シングルアームの用量増加試験の被験者は75人で、うち51人(68%)が男性。全体の平均年齢は54.3歳だった。ベースラインで左室駆出率(LVEF)が50%未満のLVEF低下患者はおらず、うっ血性心不全歴を持つ患者もいなかった。冠疾患歴があった4人(LVEFの平均は56%)も、登録前1年間は症状がなかった。

 最終的に承認された用量である50mg/日かそれ以下を4週間投与、2週間休薬を繰り返す投与レジメンが多くの患者に用いられた。治療期間の中央値は33.6週。数サイクルのスニチニブ投与を受けた75人中8人(11%)に心血管イベントが見られた。心臓死は1人で、腫瘍のデバルキング手術後5日目に、心筋梗塞、肺水腫などを含む多臓器不全となり死亡した。また、冠疾患歴のある患者1人が非致死的非ST上昇心筋梗塞を発症。6人(8%)はNew York心臓協会の心機能分類でクラスIII-IVのうっ血性心不全を発症した。これらの患者は全員が承認された用量以下の投与を受けていた。治療開始からイベント発生までの期間の中央値は30.5週だった。

 単変量ロジスティック回帰分析で複合エンドポイントとの間に有意な関係が見られたのは、冠疾患歴(オッズ比39.60、95%信頼区間3.46-453.85)とベースラインの高血圧(4.90、1.06-22.71)。鬱血性心不全のリスクとして有意だったのは冠疾患歴(16.75,1.85-151.83)だった。

多変量解析では複合エンドポイントの独立した予測因子として有意だったのは、冠疾患歴(調整オッズ比39.60、3.46-453.85)。うっ血性心不全についても、冠疾患歴のみが予測因子として有意だった(16.8、1.9-152)。

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