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薬剤溶出ステントは低リスク患者ではコストに見合わず
費用総額の差はステントの価格に由来

 薬剤溶出ステントDES)はコストに見合う価値があるのか――。スイスBasel大学病院のHans Peter Brunner-La Rocca氏らは、日常診療におけるDESの長期的費用対効果を、ベアメタルステントBMS)と比較した。ステント留置から18カ月間の主要な心イベント1件予防当たりの費用対効果を求めたところ、1万ユーロ(1ユーロは約160円)までの費用増で心イベント回避が可能なのは、主にハイリスク患者であり、低リスク患者ではDESは費用対効果が低いことが明らかになった。詳細はLancet誌2007年11月3日号に報告された。

 試験は、2003年5月から2004年5月に経皮的冠インターベンションによりステント留置を受ける患者826人(平均年齢64歳)を登録し、シロリムスまたはパクリタキセル溶出ステント(計545人)またはBMS(281人)に無作為に割り付けた。そして追跡期間18カ月の主要な心イベント(心臓死、非致死的心筋梗塞、標的病変部再血行再建術)発生、ステントの価格も含む関連コスト、当初の入院の費用、それ以降の費用を調べた。

 追跡期間に主要心イベントなしが83%を占めた、イベントありは、シロリムス群45件、パクリタキセル群45件、BMS群58件。心臓死または非致死的心筋梗塞の発生率はDES群とBMS群の間に差はなかった。非致死的心筋梗塞による標的病変部再血行再建術は、DESで35%少なかった。

 6カ月時と18カ月時にEQ-5D質問票を用いてQOLが評価できたのは703人(85%)。6カ月時のQOLはDES群で有意に高かった(P=0.024)が、18カ月時には差は見られなくなった(P=0.12)。得られた結果を基に追跡期間中の質調整生存年(QALYs)獲得量を算出。グループ全体のQALYs獲得量はDES群で大きかった(P=0.02)。

 ノンパラメトリック・ブーツストラップ法を用いて、BMSに換えてDESを用いた場合の増分費用対効果(ICER)を計算した。低リスク(3.0mm以上のステントを既存の血管に適用、558人、68%)患者と、ハイリスク(3.0mm未満の小口径ステントまたはバイパスグラフトへのステント挿入、268人、32%)患者に分けた分析も実施した。

 追跡期間中のイベント発生が少なかったことから、費用総額の多くを占めたのは、当初の入院費用とステントの価格だった。患者1人当たりの費用総額の平均はDES群1万1808ユーロ、BMS群1万450ユーロで、平均差は1358ユーロ(P<0.0001)。差額は主にステントの価格の差に由来した。

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