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超多剤耐性結核菌の感染を効率よく減らすには
入院短縮、強制隔離よりも換気が高効率――南アのシミュレーション結果

 多剤耐性結核菌MDR)は、特にHIV感染率が高い国々の公衆衛生対策に深刻な影響を与えている。しかもここ数年、第2選択薬にも反応しない超多剤耐性結核菌XDR)の分離が増加し、急速に不安が高まっている。

 2012年までに発生するXDR症例を効率よく減らす方法を明らかにするために、南アフリカ共和国の1つの村をモデルとしてシミュレーションを行った結果、病院で適切な対策を講じれば感染を半減できることが示唆された。米国Yale大学のSanjay Basu氏らの報告で、詳細はLancet誌2007年10月27日号に掲載された。

 XDR感染者の報告が最も多い南アは、HIVとの2重感染の頻度が高い。先のクワズルナタール州でのXDR感染拡大に関する報告は、同国の置かれた状況の深刻さを世界に伝えた。これによると、最初に同定された53症例はトゥゲラ・フェリー村の住民で、喀痰検査からの生存期間の中央値は16日、死亡率は98%(52人)で、検査を受けた44人の患者の全員がHIV陽性だった。なお、多くの患者に結核治療歴はなかったが、67%が最近の入院歴があった。2人は医療従事者だった。これらの事実は、XDRの院内感染を示唆した。

 結核の院内感染は世界中どこでも起こり得る。特にHIV陽性者の場合にはリスクが高い。先進国では、対策を十分に行うことによって院内感染を抑制できるが、途上国では資金不足がこれを困難にしている。そうした状況下でも実施できる最善の予防策を明らかにする研究は、これまでほとんど行われてこなかった。

 そこで著者らは、南アの地方で2012年までにXDR-TB感染がどの程度拡大するかを予測し、病院ベースの感染管理法の効果を推算するため、トゥゲラフェリー村とそこにある1病院(Church of Scotland Hospital、入院患者の40%はHIV感染者、30~40床の結核開放病棟を持つ)をモデルとして、結核の伝染をシミュレートする数理モデルを構築し、行政指導、環境改善や、個人レベルの院内感染制御法が、XDR伝染パターンに及ぼす影響を調べた。

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