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JAMA Network Open誌から
妊婦が逆境にあると胎児の脳発達に悪影響
生後1週間以内のMRI検査で新生児の脳容積と母親の貧困などとの関連を調べた研究

 米国St Louis Washington大学のRegina L. Triplett氏らは、妊娠中の母親が社会的に不利な状況に置かれることや、精神的なストレスにさらされることが、胎児の脳発達に与える影響を調べるコホート研究を行った。生まれた児の生後1週間以内に行った頭部MRI検査で脳容積や皮質の状態を調べたところ、貧困や保険未加入など社会的に不利な状況は、容積減少や皮質の折り畳み不十分と関連が見られたが、ストレステストのスコアとは関連が見られなかったと報告した。結果は2022年4月12日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 胎児期に、親の貧困や精神疾患、心理的ストレスや身体的ストレスといった困難に曝露することが、脳の重要な領域の形態的な発達を妨げ、神経発達障害を引き起こす可能性が知られている。これまでに行われた、頭部MRI画像を用いた研究では、乳児期の貧困は、就学年齢における皮質灰白質と白質、海馬、扁桃の容積が少ないことに関係すると報告されていた。しかし、出生前の社会的逆境と出生時の脳の構造の関係については、これまでほとんど検討されていなかった。

 そこで著者らは、胎児期に母親が社会的に不利な状況に置かれること、または心理社会的ストレスに曝されることは、胎児の脳容積、特に海馬や扁桃の容積と、皮質の折り畳みに悪影響を及ぼすという仮説を調べるために前向きコホート研究を実施した。

 参加者は、2017年9月1日から2020年2月28日までに、ミズーリ州St LouisにあるWashington大学の早産研究センターで、社会人口学的な特性がさまざまな、妊娠第1期または第2期に入ったばかりの単胎妊娠の母親を募集した。多胎妊娠の女性、梅毒など胎児に影響を与える可能性がある感染症の患者、飲酒・喫煙・薬物依存がある女性は除外した。

 新生児に対する頭部MRI検査は、出生から1週間以内に行うこととし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック前に実施した。鎮静は使用せず、自然な睡眠中に検査を実施した。画像に基づいて、新生児の皮質灰白質と皮質下灰白質、白質、小脳、海馬、扁桃の容積を推定し、脳回指数(GI)を用いて、皮質の折り畳みの程度を評価した。ただし、37週未満の早産児、7日以上NICUで治療を受けた場合、出生時の体重が2000g未満の場合、脳に損傷を受けた画像が見つかった場合は評価から除外した。

 社会的に不利な要因として、医療保険の状態(私的保険、公的保険、加入なし)、学歴レベル、収入支出比、居住地域の貧困指数、Healthy Eating Index(健康食指数)を調べた。心理社会的ストレスは、知覚されたストレス尺度、Edinburgh産後うつ病質問票(EPDS)、日常差別尺度(EDS)、ストレス逆境尺度(SAI)を用いて評価した。

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