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JAMA Intern Medicine誌から
白内障手術は高齢者の認知症リスク減少と関連
緑内障手術ではリスク減少が見られず、視力改善が影響か?

 米国Washington大学Seattle校のCecilia S. Lee氏らは、登録した高齢者を認知症と診断されるまで追跡するコホート研究を利用して、白内障と認知症の関連を調べ、白内障患者が水晶体摘出手術を受けた場合、手術を受けなかった患者よりも認知症のリスクが低かったと報告した。結果は2021年12月6日のJAMA Intern Medicine誌電子版に掲載された。

 視力障害は高齢者の認知症リスクを増加させる危険因子と考えられている。白内障もその原因の1つだ。しかし、白内障手術と認知症や認知機能障害の関連を調べたこれまでの研究では、相反する結果が報告されている。これらはサンプルサイズが小さい横断研究が多く、白内障の重症度は同じでも全身状態がより健康な高齢者の方が手術を受けやすいというバイアスの影響を補正できていなかった。

 そこで著者らは、白内障がある高齢者は水晶体摘出手術を受けると、その後の認知症リスクを減らせるという仮説を立てて、検証を試みた。手術を受けなかった白内障患者に加え、視力の大幅な改善を伴わない治療として、失明を予防するための緑内障手術を受けた患者とも認知症のリスクを比較することにした。

 この研究に利用したのは、加齢の影響と認知症を調べるために1994年にスタートしたAdult Changes in Thought(ACT)研究だ。ACTは、1994~96年にKaiser Permanente Washington加入者の中から、認知症ではない65歳以上の高齢者2581人を募集して追跡を開始した。その後も同じ基準で何度か参加者を追加しており、現在も進行中で、コホートに組み入れた高齢者は4960人に増えている。参加者は登録時点から2年に1回の頻度で、Cognitive Abilities Screening Instrument(CASI)を用いた認知機能スクリーニングや診察を受け、病歴と危険因子についても調べている。

 今回の分析は、ACT参加者のうち白内障と診断されていた患者3038人を対象とした。また緑内障と診断されていた患者も選び出した。電子診療記録から、白内障と診断された日と、白内障手術を受けた日を確認した。

 CASIのスコアは0~100までで評価し、点数が高いほど認知機能が保たれている。スコアが85点以下になった参加者を、さらに詳しく認知機能を精査する対象にした。主要評価項目は、DSM-5に基づく認知症の診断に設定した。副次評価項目はアルツハイマー病の診断とし、多変量Cox比例ハザード回帰モデルを用いて分析した。

 共変数は、性別、白内障と診断された年齢、人種、教育歴、喫煙状態、アポリポ蛋白E遺伝子型、併存疾患の高血圧、糖尿病、うっ血性心不全、病歴では心血管疾患(心筋梗塞、狭心症、CABGまたはPCI)と脳血管疾患(脳卒中、TIA、頸動脈内膜切除術)を調べた。これらのデータは、1994年から2018年9月30までに記録されたものを分析に利用した。

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