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JAMA Internal Medicine誌から
非致死的心筋梗塞は総死亡や心血管死亡の代替指標にならない
冠動脈疾患の予防や治療に対する臨床試験のメタアナリシス

 米国Washington大学(ミズーリ州セントルイス)のKevin O’Fee氏らは、冠動脈疾患の予防や治療に対する臨床試験で、総死亡や心血管死亡の代替エンドポイントとして非致死的心筋梗塞を用いるのが適切かどうかを検討するメタアナリシスを行い、代替指標として必ずしも適切ではなかったと報告した。結果は2021年10月25日JAMA Internal Medicine誌電子版に掲載された。

 心筋梗塞(MI)の管理法が進歩すると共に死亡率が低下したため、新しい治療法を評価する際に、死亡率以外の指標も用いる必要が出てきた。1990年代の初めには、新治療の臨床開発を加速し、不利益を被る可能性のある対照群に割り付けられる患者を減らすために、死亡と非致死的な合併症を併せて評価する方法が提案された。現在では、冠疾患患者への治療や予防を目的とする臨床試験のほぼ全てが、非致死的MIを死亡の代替エンドポイントに設定している。これは、非致死的MIを予防できれば、死亡率も減らせるに違いないという仮定に基づいている。

 しかし、非致死的MIは死亡の代替として本当に適切なのか、非致死的MIを減らす介入が死亡率を減らしていない場合もあるのではないかという疑問が残っていた。エンドポイントの代替性を断定するためには、3つのレベルのエビデンスが必要だ。第1は、2つの事柄に生物学的蓋然性(biological plausibility)があることだ。第2は、観察研究または疫学研究により、真のエンドポイントと代替エンドポイントの間の関係が一貫して示されていることだ。第3の最も高いレベルのエビデンスは、代替エンドポイントを改善する介入方法が、真のエンドポイントも改善することが多くの臨床試験で示されていることだ。

 総死亡または心血管死亡という真のエンドポイントと非致死的MIの関係が、第1と第2の条件を満たすことを示すエビデンスは豊富にある。しかし、第3のエビデンスを実証した研究はほとんどない。そこで著者らは、過去50年間に行われたランダム化比較試験(RCT)を対象に、特定の介入法の非致死的MIに対する効果と、総死亡または心血管死亡に対する効果を比較し、非致死的MIは総死亡や心血管死亡の代替にならないという帰無仮説について検討することにした。

 2020年12月31日までにPubMedに登録されていた論文の中から、冠動脈疾患の治療や予防が目的の新しい介入法を実施する臨床試験で、プラセボや他の介入方法と結果を比較している研究を選ぶことにした。論文の掲載誌は、NEJM、JAMA、Lancetの3誌に限定した。その理由は、インパクトファクターが高い論文誌は、方法論的な質が高く、バイアスリスクの低い研究の報告が多いと思われるためだ。さらにサンプルサイズは少なくとも1000人を超えており、24カ月以上追跡して、死亡率や非致死的MIの発症率を報告していた研究に限定した。

 死亡率と非致死的MIの発症率に正の相関があるだけでは、代替性の厳格な基準は満たせない。そこで対数変換した非致死的MIのオッズ比やハザード比と、総死亡率や心血管死亡率のオッズ比やハザード比を、イベント発生数で重み付けして線形回帰分析を行い、決定係数R2を用いて評価することにした。R2が0は代替性なし、1.0は完全に代替となることを意味する。代替性の基準は、R2が0.8とした。

 主要評価項目は、総死亡または心血管死亡と非致死的MIとした。介入の目的、試験が行われた年代、追跡期間などで試験を層別化したサブグループ解析も行った。

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