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JAMA Network Open誌から
高齢糖尿病患者の退院時の処方強化に利益なし
低血糖イベントは増えるが長期的なアウトカム改善は見られず

 米国Beth Israel Deaconess Medical CenterのTimothy S. Anderson氏らは、高齢の糖尿病患者が退院する時に血糖コントロールを強化した場合の影響について、30日後と1年後までのアウトカムを調べる後ろ向きコホート研究を行い、処方内容を強化すると短期的な低血糖イベントは増えるが、長期的な高血糖イベントの抑制やHbA1cの改善は見られなかったと報告した。結果は2021年10月21日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 高齢の糖尿病患者が急性の内科疾患で入院した場合、環境や食事の変化などにより血糖値が変動しやすくなる。入院中の高血糖を受けて、退院時にはしばしば経口血糖降下薬やインスリンを追加するなどの血糖コントロールの強化が指示される。しかし退院時の処方強化が、退院後の血糖コントロール改善に結びつくかどうかは明らかではない。そこで著者らは、退院時の処方強化と1年後までの成績を検討するために、米国退役軍人局(VA)の関連病院に入院した患者を対象とする後ろ向きコホート研究を計画した。

 組み入れ対象は、2011年1月1日から2016年9月28日までに、一般的な内科疾患によりVAの病院に入院した65歳以上の糖尿病患者で、治療後に退院した人。診療記録により、入院する前から糖尿病治療薬を使用していたか、HbA1cが6.5%を超えていたことを確認できた患者を対象にした。インスリンの増量指示は調剤データベースで確認しにくいため、入院前からインスリンを使用していた患者は除外した。また退院時に糖尿病ケトアシドーシスや、高血糖性高浸透圧性昏睡など、明らかに治療を強化すべき2次診断名が記録されていた患者も除外した。VAの関連施設以外で薬を受け取っていた患者も除外した。

 条件を満たした65歳以上の糖尿病患者のうち、入院前の処方に新たな薬剤が追加されているか、または薬の用量が20%以上増量されていた患者を同定し、退院時に処方が強化された患者とした。評価した血糖降下薬の種類は、ビグアナイド、SU薬、チアゾリジン系、αグルコシダーゼ阻害薬、DPP-4阻害薬、メグリチニド系、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬、インスリンだった。

 次に退院時に処方が強化されなかった患者の中から、傾向スコアを用いて、処方が強化された患者と最も条件がマッチする患者を1対1の割合で選び出した。

 主要評価項目は、30日後と365日後に判定した重症低血糖と重症高血糖イベントとした。これらのイベントは、救急受診と経過観察、入院記録で調べた。副次評価項目は、あらゆる原因による再入院、患者死亡、HbA1c値の変化、1年後までの強化処方の継続の程度に設定した。

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