日経メディカルのロゴ画像

JAMA Intern Med誌から
スタチンの投与は糖尿病の進行リスクを高める
胃酸分泌抑制薬を新たに使用した糖尿病患者とのリスク比較

 米国VA North Texas Health Care SystemのIshak A. Mansi氏らは、米国の退役軍人局の医療データを利用した後ろ向きコホート研究を行い、糖尿病患者が新たにスタチンを使用すると、新たにH2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬を使用した対照群に比べ、糖尿病が進行する患者の割合が有意に高かったと報告した。結果は2021年10月4日のJAMA Intern Med誌電子版に掲載された。

 各国のガイドラインは基本的に、2型糖尿病患者でLDLコレステロール高値を示す人には、心血管疾患の1次予防のためにスタチンの投与を推奨している。一方、スタチンの使用はインスリン抵抗性の上昇、およびHbA1cの上昇との関連が知られている。そのため、脂質異常の管理は改善しても、糖尿病に悪影響を及ぼす可能性が考えられる。しかし、スタチンが糖尿病のコントロールに及ぼす影響は明らかではなかった。そこで著者らは、糖尿病患者がスタチンの使用を開始した後の糖尿病の進行について検討する、後ろ向きマッチドコホート研究を計画した。

 コホートの作成には、米国の退役軍人局関連(VA)の診療データベースから、2003~15会計年度(2002年10月1日から2015年9月30日まで)の患者データを利用することにした。全米のVA関連医療施設で糖尿病と診断された患者の中から、年齢は30歳以上で、VAを定期的に受診して血糖値や体重を測定しており、薬剤の処方記録があり、クレアチニンやLDLコレステロールなどの検査値も記録されている人で、追跡期間中にスタチンの使用を開始していた患者を組み入れ対象とした。

 次に、交絡因子をできるだけ減らすため、対照群のコホートにはスタチンコホートと同じ条件で、追跡期間中にH2ブロッカーまたはプロトンポンプ阻害薬の使用を開始したが、スタチンは使用していない糖尿病患者を選び出した。対照群コホートの患者がその後新たにスタチンも使い始めた場合は、対照群からスタチンコホートに組み入れ直すことにした。

 主要評価項目は、糖尿病の進行を示す複合イベントとした。イベントには、追跡期間中の新たなインスリン使用開始、新たな種類の血糖降下薬の追加、200mg/dL以上の血糖値を5回以上記録した、糖尿病ケトアシドーシスまたは管理不良の糖尿病と新たに診断された場合を含めた。副次評価項目は、複合イベントを構成する個々の要因などに設定した。結果の比較は、93種類の変数を調べて、スタチンコホートと対照群コホートの中から傾向スコアが最もマッチする組み合わせを1対1の割合で選んで行った。

この記事を読んでいる人におすすめ