日経メディカルのロゴ画像

JAMA Network Open誌から
子犬から超多剤耐性C. jejuniに感染した例が多数見つかる
ペットショップでの感染例から全米でサーベイランスを強化した調査報告

 米国における超多剤耐性Campylobacter Jejuni感染経路として、近年、ペットショップで販売されている子犬が大きな役割を果たしていることが明らかになった。米国疾病予防管理センター(CDC)のLouise K. Francois Watkins氏らは、調査結果を2021年9月15日のJAMA Network Open誌電子版に報告した。

 米国では、下痢の原因として最も多いのがカンピロバクターだ。年間に150万人が発症し、うち45万人から薬剤耐性菌が検出される。薬剤耐性カンピロバクターの割合は、過去20年間に2倍に増えた。ヒトのカンピロバクター感染症の9割超がC. jejuniによるものだ。主な症状は、下痢、発熱、腹部の痙攣で、ほとんどが1週間程度で回復する。重症患者または重症化リスクの高い患者(高齢者、乳児、妊婦、免疫抑制状態など)には抗菌薬が投与される。推奨されているのは、マクロライドとキノロンだ。

 2017年8月、フロリダ州保健局はC. jejuni感染者6人について報告を受けた。患者には、オハイオ州を本拠地とするペットショップチェーンの複数の店舗で販売されていた子犬との接触歴があった。フロリダ州で子犬から分離された細菌の全ゲノムシーケンシング(WGS)の結果は、オハイオ州でそのペットショップから子犬を購入した後にC. jejuniに感染した患者から分離された菌の遺伝子と高い関連性を示した。この結果を受けて、CDCは連邦と州の協力者と共に、ペットショップの子犬と関連づけられるC. jejuni感染症のアウトブレイクに関する調査を全米で開始した。

 CDCは1996年からカンピロバクター・サーベイランスを開始している。この研究では超多剤耐性株の疫学を調べるために、4つのデータを統合して調べることにした。1回目(2016年1月1日~2018年2月29日の通常サーベイランスデータ)と2回目(2019年1月1日~2020年2月29日の通常サーベイランスデータ)、子犬との関連が見つかってから実施した強化サーベイランスのデータ(2018年2月13日~12月31日)、過去の症例データ(2016以前の症例で分離された株が分かっており、塩基配列が調査可能だったもの)の4種類だ。

 C. jejuni感染患者にはインタビュー調査を行い、人口統計学的特性(年齢、性別、人種、居住している州)、アウトカム(入院または死亡)、発症前7日間の犬との接触(子犬か成犬か、接触様式、どのペットショップか、ブリーダーはだれか、など)について調査した。ペットショップの子犬からも便サンプルを集め、細菌株を分離してWGSを実施した。さらにコアゲノムMLST(core genome multilocus sequence typing)解析により、分離細菌間の近縁性を調べた。

 患者や子犬から分離された株は、抗菌薬に対する感受性試験も行った。対象は、アミノグリコシド系(ゲンタマイシン)、ケトライド系(テリスロマイシン)、リンコサミド系(クリンダマイシン)、マクロライド系(アジスロマイシンとエリスロマイシン)、キノロン系(シプロフロキサシンとナリジクス酸)、フェニコール系(フロフェニコール)、テトラサイクリン系(テトラサイクリン)の9種類。マクロライドとキノロンを含む3種類以上の抗菌薬に耐性を示す場合を超多剤耐性菌と判定した。

この記事を読んでいる人におすすめ