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JAMA Intern Med誌から
甲状腺機能障害と認知機能低下に有意な関連は見られない
7万4565人の甲状腺機能検査値に基づいて患者を再分類してリスクを比較

 オランダLeiden大学のNicolien A. van Vliet氏らは、23件のコホート研究に参加した7万4565人の甲状腺機能と認知機能の関係を検討し、甲状腺機能亢進症や機能低下症と、認知症や認知機能低下に関連は見られなかったと報告した。結果は2021年9月7日のJAMA Intern Med誌電子版に掲載された。

 認知症が疑われる患者には、甲状腺機能障害がしばしば認められる。そのためガイドラインでは認知症と診断する前に甲状腺機能を調べることになっている。しかし、甲状腺機能低下症と機能亢進症に対する治療を実施しても、認知機能が改善するというエビデンスはない。観察研究を対象としたメタアナリシスでも、甲状腺機能障害と認知機能について一貫した結果を示していなかった。

 そこで著者らは、これまでの研究の問題点を修正し、より明瞭な結果を得るために、コホート研究の個々の参加者のデータを利用して、甲状腺機能障害の定義を統一し、ベースラインの特性に基づいて患者を層別化した上で、分析することを考えた。今回は、複数のコホートを対象に、横断的な分析と縦断的な分析を行った。

 分析に当たって著者らは、甲状腺刺激ホルモン(サイロトロピン)値と、遊離サイロキシン(FT4)値に基づいて対象者を以下のように分類した。1)甲状腺機能正常は甲状腺刺激ホルモン値が0.45~4.49mIU/Lの範囲内、2)顕性甲状腺機能亢進症は甲状腺刺激ホルモン値が0.45mIU/L未満でFT4値が基準範囲を超える、3)潜在性甲状腺機能亢進症は甲状腺刺激ホルモン値が0.45mIU/L未満でFT4値が基準範囲内、または甲状腺刺激ホルモン値が0.45mIU/L未満でFT4値は測定なし、4)潜在性甲状腺機能低下症は甲状腺刺激ホルモン値が4.50~20mIU/LでFT4値が基準範囲内、5)顕性甲状腺機能低下症は甲状腺刺激ホルモン値が20mIU/L以上、または甲状腺刺激ホルモン値が4.50mIU/L以上でFT4値が基準範囲未満とした。

 主要評価項目は、主にMMSEを用いて全般的認知機能を評価した。MMSEスコアの1ポイントの差は、認知症ではない人における臨床的に重要と見なされる最小の差と考えられる。副次評価項目は、実行機能(個々の研究が多様な評価指標を適用していた)、記憶(3通りの評価指標が用いられていた)、認知症の診断とした。

 分析はまず、研究ごとに、多変量線形回帰モデルと多変量Cox回帰モデルを用いて行い、得られたデータに制限付き最尤法を適用してメタ分析した。異なる尺度が使用されているという壁を乗り越えるために、結果は標準化平均差に変換した。認知症発症率については、ハザード比を推定した。

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