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JAMA Surgery誌から
ロボットを使用しても胃癌切除後の腹腔内感染症は減らない
切除可能胃癌に対するロボット支援手術と腹腔鏡手術のランダム化比較試験

 和歌山県立医科大学の尾島敏康氏らは、根治的胃切除術を受ける患者に対して、ロボット支援手術(RG)と腹腔鏡下手術(LG)の成績を調べるランダム化比較試験を行い、両群の術後腹腔内感染症発症率に差はなかったと報告した。結果は2021年9月1日のJAMA Surgery誌電子版に掲載された。

 低侵襲のLGは、胃癌に対する根治的治療として受け入れられている。これに対してRGには、高解像度の3D画像が得られる、手術器具の可動域が広い、手ぶれ防止機能がある、操作がしやすいなど、LGにはない利点がある。そのため、膵液瘻や膿瘍などを含む腹腔内感染性合併症リスクを減らせる可能性がある。そこで著者らは、胃癌患者に対するRGとLGの短期的術後合併症とその後の成績を比較することにした。

 対象は、病理学的に胃癌であることが確認され、TNM分類で切除可能に該当し、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の適応ではない、年齢20~90歳までの患者。ECOGパフォーマンスステータスが0または1、BMIは35未満、これまでに消化管手術または化学療法や放射線治療を受けたことがなく、主な臓器の臨床検査値が基準範囲に含まれることとした。他にも癌が見つかった人、妊婦や授乳中の女性、コントロール不良の高血圧や糖尿病がある患者などは組み入れから除外した。

 条件を満たした患者はRGまたはLGにランダムに割り付けた。手術部位(胃全摘か、近位部か遠位部か)は偏りがないように層別化した。RG群にはda Vinci SiまたはXi Surgical Systemを使用した。

 主要評価項目は、JCOG術後合併症規準(Clavien-Dindo分類)のグレードII以上で、臨床的に意義があると見なされる腹腔内感染性合併症に設定した。腹腔内感染性合併症は、縫合不全、膵液瘻、腹腔内膿傷と定義した。副次評価項目は、Clavien-DindoグレードII以上のあらゆる合併症や、治療成績(手術時間、出血量、術式変更率、摘出したリンパ節の数など)、術後の経過などとした。

 2018年4月1日から10月31日までに、切除可能な胃癌手術を受ける予定の患者は287人いた。このうち条件を満たした241人がランダム割り付けに参加し、122人をLG群に、119人をRG群に割り付けた。割り付け後に遠隔転移や腹膜播種が見つかった患者など5人を除く、LG群の119人とRG群の117人をmodified intention-to-treat(mITT)分析の対象とした。手術の途中で術式を変更した患者は6人で、最終的にはLG群の117人とRG群群の113人が
割り付け通りの手術を受けた。対象者の性別は150人(63.6%)が男性で、平均年齢は70.8歳(標準偏差10.7歳)だった。

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