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JAMA Network Open誌から
非心臓手術後の腎代替療法を要する急性腎傷害の予測モデル
術前に利用可能な15種類のデータからリスクスコアが計算可能なモデル

 カナダCalgary大学のTodd A. Wilson氏らは、主要な非心臓手術を受けた患者が術後に腎代替療法(KRT)を要する急性腎障害(AKI)を発症するリスクを、術前に得られるデータから予測するモデルを構築し、外部コホートで検証した結果、術後にKRTが必要になる患者を高い精度で予測できたと報告した。結果は2021年8月23日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 重症の急性腎障害(AKI)は、術後に見られる重篤な合併症の1つだ。入院期間を長引かせ、術後のアウトカムに大きな影響を与える。1995年から2009年までに、主な待機手術でのKRTが必要なAKIの発症率は、約4倍に増加したと報告されている。そのためAKIのリスク予測は、手術のインフォームドコンセントや術前の意思決定に欠かせない重要な情報となっている。

 心臓手術後のAKIを予測するモデルはいくつか利用可能だが、非心臓手術後の患者に対するリスク予測モデルはほとんどない。そこで著者らは、待機的に非心臓手術を受ける患者の術前に入手可能な臨床情報から、KRTが必要なAKIの発症リスクを予測するモデルを作成し、精度の検証を試みることにした。

 モデルの作成に用いる導出コホートは、カナダアルバータ州のAlberta Kidney Disease NetworkデータベースとAlberta Health登録データを利用した。同州で2004年1月1日から2013年12月31日までに、非心臓手術(ICD-9CMのコードから心臓以外の胸部臓器、腹部臓器、血管、筋骨格系の手術)を受けた年齢18~95歳までの患者全員を組み入れることにした。ただし、術前の30日以内に血清クレアチニン検査を受けた記録がない患者や、術前に腎不全と診断されていた患者は除外した。

 外部検証コホートには、カナダオンタリオ州の診療情報を登録したデータベースを用いた。ICD-9CMとICD-10コードを利用して、2019年9月1日~2021年3月31日までに、アルバータ州の導出コホートと同様に非心臓術を受けていた患者を選び出した。

 主要評価項目は、術後14日以内のKRTを必要とするAKIとした。危険因子の候補になる変数として、人口動態統計データ、臨床検査値、併存疾患、手術方法、緊急度(待機手術か緊急手術か)に関する情報を含めた。

 導出コホートには9万2114人の患者を組み入れた。平均年齢は62.3歳(標準偏差18.0歳)、女性の割合が52.2%だった。529人(0.6%)が術後14日以内にKRTを必要とするAKIを発症した。該当者には男性が多く、手術部位では腹部大動脈瘤や血管手術、大腸・肝臓・膵臓手術が多く、ベースラインのeGFR値やヘモグロビン濃度が低い患者が多かった。

 検証コホートには70万9086人の患者を組み入れた。平均年齢は61.6歳(標準偏差16.0歳)、女性の割合が50.8%だった。術後14日以内にKRTを必要とするAKIを発症した患者は2956人(0.4%)だった。導出コホートに比べると検証コホートの方が40歳未満の割合が少なく(13.3%と10.6%)、70歳以上の割合も少なかった(38.9%と32.2%)。

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