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JAMA Network Open誌から
幼少期からの教育的介入は30年後の心血管疾患リスクを減らす
80年代にシカゴの貧困地区で小児に実施した早期教育の効果を追跡

 米国Minnesota大学のArthur J. Reynolds氏らは、シカゴで貧困世帯の小児を対象に幼少期から最長6年間(3~9歳)の教育的介入を実施して、プログラムの効果を長期追跡するコホート研究を行い、介入を受けたグループは30代半ばになった時点でのフラミンガムリスクスコア(FRS)が低かったと報告した。結果は2021年8月20日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 米国では、主に黒人の貧困層に見られる顕著な健康格差が問題になっている。格差の原因は、貧困層が教育を受ける機会が少ないことが一因と考えられている。そのため米国の一部地域では、貧困地域の小児の学業を支援し、学歴における格差を縮小するため、総合的なファミリーサービスが提供されている。そうした幼少期のプログラムは、その地域に済む人々の経済的な健全性を高め、犯罪を予防し、健康を害する問題行動を減らすために役立っていることが報告されている。しかし、教育介入で心血管疾患(CVD)のリスクを減らすことができるかは分析されていなかった。

 そこで著者らは、幼小児期に介入する教育プログラムが、約30年後の本人のCVDリスクにどのように関係するのかを調べることにした。年齢が3~9歳の時にシカゴのChild-Parent Center(CPC)Education Programに参加した、主に黒人の小児コホートを追跡して、37歳時点のFRSを評価することにした。

 The Chicago Longitudinal Studyには、1983年9月に始まったCPCに参加した1979~80年生まれの小児1539人を組み入れた。介入群のコホートには、3歳または4歳から9歳になるまでプログラムに参加できた小児989人を組み入れた。対照群のコホートには、一般的な幼稚園を利用している小児からランダムに選んだ550人を組み入れた。どちらのグループも、極度の貧困地区の小児、黒人とヒスパニックの参加者割合が同じになるようにした。

 成人した後の追跡調査は、患者の年齢が32~37歳の時点(2012年8月~2017年6月)に実施した。1539人中1104人(71.7%)が約2時間のインタビューを受け、学歴、雇用状況、家族生活、各種の健康状態について回答した。そのうちの301人は37~39歳の時点で、Northwestern大学の予防医学クリニックを受診してもらい健康診断を受けている。

 主要評価項目は、2009年6月8日にCirculation誌に発表された、若年者のリスク予測に有効な、フラミンガム30年心血管リスク予測モデルに基づく、ハードフラミンガムスコア(H-FRS;冠動脈疾患死亡、心筋梗塞、脳卒中の30年リスクを予測)と、全般フラミンガムスコア(G-FRS;冠動脈疾患死亡、心筋梗塞、脳卒中、心不全、冠不全、一過性心臓発作、狭心症の30年リスクを予測)に設定した。

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