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JAMA Network Open誌から
血小板増加症の発見後2年間は癌の診断が増える
相対リスクが高いのは卵巣癌、胃癌、結腸癌、肺癌など

 カナダWomen's College HospitalのVasily Giannakeas氏らは、オンタリオ州の住民を対象とする後ろ向きコホート研究を行い、血小板数の増加が新たに見つかった人を5年後まで追跡して癌の発症率を調べたところ、特に発見後の2年間は血小板数が基準範囲内だった人よりも固形癌と診断されるリスクが増加していたと報告した。結果は2021年8月12日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 一部の癌患者には、静脈血栓塞栓症が発生する。また、新規診断の癌患者の一部には血小板増加症が認められる。さらに、血小板は癌の発生と進行に役割を果たすと考えられてきた。例えば、卵巣癌の一部はインターロイキン6を産生し、これが肝臓でトロンボポエチンの分泌増加をもたらして、血小板の産生を促進する。しかし、腫瘍が血小板の形成を刺激するのか、血小板数が増加するために腫瘍の増殖が加速されるのかは明らかではなかった。また、血小板数の増加と癌の関係が、一過性なのか持続する現象なのかも不明であり、血小板増加症に関係している癌の種類も判明していない。

 そこで著者らは、血小板増加症の新規診断と、その後の癌の発症リスクを検討するために、カナダのオンタリオ州で定期的に医師の診察を受け、全血球計算結果が記録されている成人住民のデータを用いたコホート研究を計画し、2007年1月1日から2017年12月31日までの住民の血液検査結果と、2018年12月31日までのオンタリオ州の癌登録データを照合することにした。

 対象は、45万/μLを超える血小板数の増加が初めて見つかった40~75歳の成人。初めての異常であることを担保するために、過去2年間の検査で血小板数が基準範囲内だった記録がない人は除外した。また、血小板の増加が見つかった時に既に癌と診断されていた患者も除外した。

 血小板増加症患者を暴露群とし、患者1人に対して5人の割合で血小板数が基準範囲内(15~45万/μL)の対照群を選ぶことにした。対照群は、年齢、性別、収入、居住地、検査日(血小板増加が見つかった日から30日以内)、健康状態の傾向スコアをマッチさせて選び出した。暴露群と対照群は原則として5年間、または追跡終了日(2018年12月31日)か、オンタリオ州の医療保険対象から外れた日まで追跡した。

 主要評価項目は、血小板増加症が見つかった日から5年以内の癌の診断とした。血小板増加症と関係する可能性がある癌の種類別に絶対リスクと相対リスクを推定した。追跡期間は0~6カ月まで、7~12カ月まで、1~2年まで、2~3年まで、3~4年まで、4~5年までに分割して、期間によるリスクの違いがあるかも調べた。

 血液検査の結果が記録されていたオンタリオ州住民338万6716人のうち、血小板増加症が見つかった患者は5万3339人(1.6%)いた。発見時の年齢は中央値で59.7歳(四分位範囲50.2~67.4歳)で、70.0%が女性だった。このうち5万1624人(96.8%)は、条件がマッチする対照群を5人選ぶことができた。暴露群の血小板数は平均値で51万/μL(範囲は45.1万~201万/μL)だった。

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