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JAMA Network Open誌から
死亡リスクが高くない肥満ってどんな人?
正常体重の人と死亡リスクが変わらない代謝的に健康な肥満の新たな提案

 ドイツGerman Institute of Human Nutrition Potsdam-RehbrueckeのAnika Zembic氏らは、米国と英国の大規模コホート研究のデータを利用して、BMIが30を超えても正常体重の人と死亡リスクが変わらない「代謝的に健康な肥満(MHO)」に該当するのはどんな人かについて検討し、MHOの新たな定義を提案した。結果は2021年5月7日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 BMIが30以上というのが肥満の定義だ。体重が正常範囲の人に比べ、肥満者は心血管疾患のリスクが高く、死亡率も高い。しかし、肥満者の中にも疾患や死亡リスクが低い人がいる。そうした人々をMHOとし、「代謝的に不健康な肥満」と区別する研究者も増えてきた。これまでに提案されたMHOの定義は、多くがメタボリックシンドロームではない、またはインスリン抵抗性が見られないことに基づいていた。しかし、この定義では正常体重の成人に比べ、MHOの死亡リスクが高いことが報告され、十分ではないことが判明した。

 そこで著者らは、「代謝的に健康(MH)」の新たな定義を導き出し、心血管死亡および総死亡との関係を検討するために、米国健康栄養調査の3回目に参加したコホート(NHANES-III)のデータを利用した。また、UK Biobankに登録されていた英国人を検証コホートとして、新定義の妥当性を検討した。

 NHANES-IIIコホート研究には、1988~94年に複数回に分けてベースラインの健康状態調査を行い3万3199人が参加している。今回の研究では、妊婦を除外して、年齢は18~75歳で、心血管疾患の病歴がなく、BMIが18.5以上で、空腹時の診察データがそろっている1万2341人を対象にした。平均年齢は41.6歳(標準偏差は29.2歳)、50.7%が女性で、BMIの平均値は27.2だった。

 UK Biobank研究は、年齢40~69歳の成人50万2506人が参加して、2006~10年にベースラインの健康調査を行っている。今回の研究では、空腹時の血液検査データが記録されている37万4079人を対象にした。平均年齢は56.2歳(標準偏差は8.1歳)、55.1%が女性で、BMIの平均値は27.4だった。

 主要評価項目は心血管死亡率と総死亡率とした。BMIが18.5-24.9は正常体重、25.0-29.9は過体重、30.0以上は肥満に分類した。共変数として、年齢、性別、人種/民族、学歴、年収、婚姻状態、喫煙歴、飲酒量、身体活動度、使用薬などを調べた。血液検査では、トリグリセリド、総コレステロール、HDLコレステロール、グルコース、HbA1c値、CRP、インスリン、γGTP、ALTなどを調べた。人種と糖尿病の有無については自己申告データをそのまま利用した。

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