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JAMA Network Open誌から
胎児期から1歳までの抗菌薬使用はアトピー性皮膚炎を増やす
2006~10年にスウェーデンで生まれた児を2015年まで追跡したコホート研究

 スウェーデンKarolinska InstitutetのMwenya Mubanga氏らは、同国で生まれた小児を対象に、胎児期と生後1歳までの抗菌薬暴露とその後のアトピー性皮膚炎発症との関連を調べるコホート研究を行い、どの時期の抗菌薬暴露もアトピー性皮膚炎のリスク増加と関連が見られたと報告した。結果は2021年4月29日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 小児のアトピー性皮膚炎の有病率は7~25%と報告されている。この疾患の発症と進行における遺伝的な要因の関与は大きいが、環境要因も関係することが知られている。環境要因の1つと考えられているのが、妊婦の抗菌薬使用による胎内暴露と、生後間もない時期の抗菌薬処方だ。抗菌薬により腸内細菌叢の成熟を遅れ、多様性を縮小することがアトピー性皮膚炎の発症に関係するのではないかと考えられている。

 しかし、これまでの研究は一貫した結論を示せていない。その理由は、小規模な研究で統計学的検出力が低かった、アトピー性皮膚炎の定義が研究により異なっていた、対象集団が限定されていた、交絡因子の調整が不十分だった、などが想定されている。そこで著者らは、Swedish Medical Birth Registerを利用した大規模なコホート研究で、抗菌薬暴露とアトピー性皮膚炎発症の関係を検討することにした。

 対象は2006年3月1日から2010年12月31日までにスウェーデンで出生した全ての単生児(73万774人)。家庭内の交絡因子を検討するために、対象者の兄弟姉妹コホート(双生児などを除く53万590人)も設定した。母親が妊娠中にスウェーデンに移住してきた場合(約8000人)は除外した。残る72万2767人は、アトピー性皮膚炎を発症するまで、他国に移住するまで、死亡するまで、または追跡終了日(2015年12月31日)まで追跡した。

 Swedish Prescribed Drug Registerから母親の妊娠中と生まれた児の生後1年までの抗菌薬処方記録を調べた。抗菌薬の使用目的は、呼吸器感染症、尿路感染症、皮膚感染症、その他の感染症の4種類に分類した。また抗菌薬の種類は、広域スペクトラムと狭域スペクトラムに分けた。

 主要評価項目は、小児のアトピー性皮膚炎の診断で、最初に抗菌薬を処方された時期と、最初にアトピー性皮膚炎と診断された日も確認した。共変数として、小児の性別、母親の年齢、世帯構成、兄弟と出生順位、母親の学歴、出生時の居住地域、母親の喫煙習慣、母親の喘息歴、分娩方法などの情報を収集した。

 72万2767人の単生児の平均年齢は5.8歳(標準偏差は2.4歳)で、48.6%は女児だった。追跡期間中に15万3407人(21.2%)が胎内で、17万2405人(23.8%)が生後1年以内に、抗菌薬に暴露していた。母親の抗菌薬使用は、喫煙歴がある女性に多く(9.0%と6.6%)、学歴が低い女性に多い(12.1%と9.7%)傾向を示した。

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