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JAMA Network Open誌から
禁煙後に10kg太っても死亡リスクは低下する
オーストラリアの成人を対象にしたコホート研究

 オーストラリアWestern Sydney大学のBerheW. Sahle氏らは、禁煙後に体重が増加する人が多いことから、体重増加が禁煙のメリットを相殺するかどうかを調べるために成人を対象とするコホート研究を行い、たとえ禁煙後の体重増加が10kgを超えても喫煙者に比べると有意な死亡リスクの減少が見られたと報告した。結果は2021年4月27日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 肥満は、2型糖尿病や心血管疾患(CVD)、ある種の癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、死亡などの危険因子と見なされている。そのため禁煙後に体重が増加すると、禁煙のメリットが損なわれるのではないかと考えて、禁煙に踏みきれない喫煙者が一部に存在する。しかし、体重増加が禁煙の利益を損なうかどうかは明らかではなかった。そこで著者らは、禁煙後の体重およびBMIの長期的な変化と、CVD、2型糖尿病、癌、COPD、総死亡の関係を検討するコホート研究を計画した。

 この研究では、オーストラリアで2001年から始まった世帯パネル調査の「Household, Income and Labour Dynamics in Australia(HILDA)サーベイ」のデータを利用することにした。この調査は家庭の経済状態と家族の健康状況の関連を調べるために、オーストラリア政府が費用を負担して継続して実施されている。全国からサンプリングされた世帯を対象に、年1回家庭内の成人にインタビュー調査を行っている。今回は2006年から2014年にHILDAに参加したオーストラリア国民を代表する18歳以上の人々で、体重、BMI、喫煙習慣に関する情報などがそろっていた人を分析対象にした。

 HILDAサーベイに登録した時点で、参加者の年齢、性別、雇用状況、配偶者の有無、学歴などの情報を収集した。年1回、質問票を用いて、過去12カ月間の喫煙習慣と身長・体重に関する情報の自己申告を依頼した。また、2~4年ごとの調査の時点で、半年以上前から、医療従事者に、心血管疾患(CVD)、2型糖尿病、癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)であると言われていなかったかどうかを尋ねた。また、運動習慣や飲酒習慣に関する情報も得た。死亡の有無については、同国の死亡登録を参照して判定した。

 Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、禁煙後の体重およびBMIの変化と、CVD、2型糖尿病、癌、COPD、死亡の関係を検討した。

 合計で1万6663人をコホートに組み入れた。8082人が男性で8581人が女性、平均年齢は43.7歳、標準偏差は16.3歳だった。参加者のうち3588人(21.5%)は追跡期間を通じて喫煙していた人、7842人(47.1%)は喫煙したことがない人、5233人(31.4%)が禁煙した人だった。

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