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JAMA Network Open誌から
小児のADHDは過剰に診断されている
以前よりもADHDの有病率が増え、治療効果が低い軽症患者が増加

 オーストラリアSydney大学のLuise Kazda氏らは、18歳以下の小児に対する注意欠如・多動症(ADHD)の診断例が増えていることから、治療の必要がない小児まで過剰に診断されている可能性を検討する系統的スコーピングレビューを行い、過剰診断と過剰治療が行われているエビデンスが得られたと報告した。結果は2021年4月12日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 過剰診断という概念は、癌の領域では十分に確立されているが、癌以外の疾患でも起きている。癌以外の疾患の過剰診断について検討する方法が先ごろ報告されたが、これまでADHDには適用されていなかった。

 ADHDの過剰診断は、疾患の定義を拡大し、不明瞭または軽症の患者も含めるようにしたために増えた、あるいはこれまでは異常と捉えられていなかった、小さな子どもに典型的な行動を医療対象と見なすようになったために増えた可能性がある。しかし、報告数が増えたのは、以前は見逃されていたのが原因ではなく、実態が過剰診断であると判断するためには、治療による害が利益を上回るため、治療を受けても全体的な健康状態は改善しないことを確かめる必要がある。

 著者らは、系統的な文献レビューを行い、小児のADHDの過剰診断のエビデンスを構築した。用いたのは、過剰診断を検出するための5つの質問だ。具体的には、1)診断が増える余地があるか(集団の間で有病率にばらつきがある、または異なる診断基準が用いられているが、それを生物学的に説明できない場合に、診断が増える余地があると考える)、2)実際に診断が増えているか、3)増えたのは無症状または低リスクの症例か、4)増えた症例の一部は治療を受けたか、5)診断の利益(5a)と治療の利益(5b)は害を上回っているか、について検討した。本来は別の疾患があるのに、ADHDと誤診した場合は過剰診断に含めないことにした。

 MEDLINE、Embase、PsychINFO、コクランライブラリから、ピアレビュー誌に掲載された英語の論文で、1979年1月1日から2020年8月21日までに発表されており、18歳以下のADHD患者を対象に、診断と薬物療法のアウトカムを報告していた研究を選び出した。

 検索で見つかった1万2267件の研究の中から、PRISMAガイドラインに従って334件(2.7%)を選出した。それらのうちの61件(18.3%)は2次解析で、273件(81.7%)は1次解析だった。65.0%が過去10年間に行われた研究で、38.3%が北米で、27.8%が欧州で、10.5%がアジア/オセアニアで行われていた。バイアスリスクは129件が低、102件が中、103件が高と判断された。

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