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JAMA誌から
低強度の運動ではPAD患者の歩行能力向上は望めない
ガイドラインが推奨する高強度の運動では6分間歩行距離が改善

 米国Northwestern大学のMary M. McDermott氏らは、本人にとって快適なペースでできる低強度のウオーキングで、下肢の末梢動脈疾患(PAD)患者の歩行能力を改善できるかどうかを検討するランダム化比較試験を行い、低強度の運動では12カ月間行っても歩行能力は向上しなかったと報告した。結果はJAMA誌電子版に2021年4月6日に掲載された。

 現在のガイドラインでは、PAD患者の歩行能力を改善するには、下肢に虚血症状を誘導する程度の高強度のウオーキングを監視下で行うことを推奨している。しかし、このウオーキングはきついためアドヒアランスが低い。また、虚血を誘導することによって、ふくらはぎの骨格筋に損傷を起こす可能性も指摘されている。一方、本人にとって快適なペースで行う虚血を起こさない低強度のウオーキングなら、継続できる患者も多いと考えられるが、PAD患者の歩行能力を向上させられるかどうかは不明だった。そこで著者らは、ランダム化比較試験を行って、低強度のウオーキングを継続した場合の歩行能力の変化を、高強度のウオーキングを行う群と情報提供のみの対照群と比較することにした。

 試験は、Northwestern大学、Tulane大学、Minnesota大学、Pittsburgh大学の4施設で行った。参加者は2015年9月25日から2019年12月11日までに、PAD患者のリストや医師からの紹介に加え、広告も活用して募集した。組み入れ条件は、年齢が50歳以上で、どちらかの下肢のABI(足関節上腕血圧比)が0.90以下とした。ABIが0.91~1.00でも、血管造影などでPADと診断された場合や、heel-rise test(つま先立ち)後にABIが20%以上低下した場合は参加可能とした。PAD患者の典型的な症状である間欠跛行は、見られなくてもよいこととした。

 除外基準は、車椅子が必要な患者、PAD以外の理由で歩行に制限がある患者、足潰瘍がある患者、MMSEスコアが23未満の認知機能低下がある患者、視覚障害や聴覚障害がある患者、1年以内に大手術を受ける予定の患者、過去3カ月に下肢の血行再建術や整形外科手術を受けた患者などとした。

 条件を満たした患者は、120対120対65の割合を目安として、低強度ウオーキング群、高強度ウオーキング群、対照群に割り付けた。介入は12カ月間継続することとして、最初の4週間は、3群とも毎週参加施設に来てもらった。5週から52週までは、電話で参加者と連絡を取った。

 介入群に割り付けられた患者は最初の4週間に、腰に装用した加速度計で運動強度を確認できるようにコーチの指導を受けた。低強度群には下肢に虚血症状が現れないペースで、高強度群には下肢に中等度から重度の虚血症状が生じるペースで歩いてもらった。5週目からはコーチの非監視下で1週間に5回、最長50分のウオーキングを継続するよう依頼した。介入群の参加者は、家庭にあるパソコンやタブレットなどを使って、加速度計が記録した運動の強度と継続時間をアップロードしてもらい、電話での指導に役立てた。対照群には最初の4週間に、参加施設での教育セッションを受講してもらった。その後は週1回電話して、National Institutes of Healthの教材の中から選んで、健康についてのアドバイスを与えた。追跡は2020年10月7日まで行った。

 主要評価項目は、ベースラインから12カ月後までの6分間歩行距離の変化とした。PAD患者において、臨床的に意義のある6分間歩行距離の改善は、最短で8~20mの範囲と見なされている。副次評価項目は、トレッドミル歩行時間、歩行障害の質問票スコア、SF-36によるQOLなどとした。

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