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JAMA Network Open誌から
妊娠中にHPVワクチンを接種しても母子のリスクは増えない
ワクチン接種のタイミングと妊娠関連アウトカムを比較したコホート研究

 米国HealthPartners InstituteのElyse O. Kharbanda氏らは、妊娠中またはその前の時期に9価のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種を受けていた米国の女性と、ワクチン接種を受けたのは最終月経から16週以上前だった女性の妊娠関連アウトカムを比較するコホート研究を行い、本人が気づかずに妊娠中に接種を受けても、流産や早産などのリスクは増加していなかったと報告した。結果は2021年4月5日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 米国では2006年から4価のHPVワクチンが導入され、2015年からは9価のHPVワクチンが推奨されるようになり、2017年以降は9価のHPVワクチンのみが流通するようになった。最近では9価のHPVワクチンは、世界的に広く接種されているが、妊婦が接種を受けた場合の影響に関する情報はほとんどなかった。米国ACIP(Advisory Committee on Immunization Practices)は、妊娠している女性には出産後にHPVワクチンを接種するよう推奨している。しかし、通常のHPVワクチン接種では、実施前の妊娠検査は推奨されていないため、妊娠中やその前後に接種を受けて、不安なまま妊娠期間を過ごす女性が少なからず存在する。

 そこで著者らは、妊婦または妊娠前後の女性が9価のワクチンに暴露した場合の、妊娠と出産関連アウトカム (自然流産、早産、在胎不当過小児の出産、主要な構造的先天異常)に対する影響を評価するためのコホート研究を実施した。

 この研究では、米国のワクチン安全性監視システムであるVaccine Safety Datalinkに参加している医療保険システムの7組織(Kaiser Permanente Northern California、Kaiser Permanente Southern California、Kaiser Permanente Northwest、Kaiser Permanente Washington、Kaiser Permanente Colorado、Marshfield Clinic、HealthPartners)のデータを利用した。

 組み入れ対象は、2015年10月26日から2018年11月15日までに妊娠プロセスを終了(単体児を出産または流産もしくは死産)していた12歳から28歳までの女性。妊娠がスタートする8カ月前から妊娠終了の8カ月後まで継続して保険に加入しており、妊娠中または妊娠前の最終月経の12カ月前までに4価または9価のHPVワクチンの接種を受けていた女性を対象とした。多胎妊娠の女性、中絶薬を使用した女性、妊娠中の外来受診記録がない女性などは除外した。

 ワクチン接種の時期に基づいて、対象者を3グループに分類した。妊娠とは関係しないと考えられる遠隔期間(最終月経の22週前から16週前)にHPVワクチンを接種した対照群の女性(切り替え時期だったため4価のワクチンも含む)、妊娠前の期間(最終月経の42日前から最終月経まで)に9価のワクチンを接種した女性、妊娠中(最終月経から妊娠19週まで)に9価のワクチンを接種した女性だ。

 主要評価項目は、自然流産、早期産、在胎不当過小児の出生、主要な構造的先天異常とした。逆確率重み付け法を用いて共変数を調整した。時間依存型共変量を考慮したCox比例ハザード回帰モデルとポワソン回帰モデルを用いて、9価のワクチンへの暴露と、妊娠と出産関連アウトカムの関係を検討した。

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