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JAMA Network Open誌から
TAVRは腎機能にも好ましい影響を及ぼす可能性
イスラエルでTAVRを受けた894人の腎機能を追跡して評価

 イスラエルRabin Medical Center-Beilinson HospitalのGuy Witberg氏らは、高齢の大動脈弁狭窄患者に対して行う経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)が、患者の腎機能に与える影響を検討するためのコホート研究を行い、治療から1カ月後の腎機能は安定しているか改善した患者の割合が8割を超えており、TAVRは悪影響よりも利益をもたらす可能性が高いと報告した。結果は2021年3月26日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 高齢者では手術のリスクが高いため、大動脈弁狭窄の治療にTAVRを適用する例が増えている。高齢者では慢性腎臓病(CKD)も合併している可能性は高いが、TAVRが腎機能に与える影響は明らかではなかった。これまでの研究では、TAVRが腎機能に好影響を与えるというものも、急性腎障害を増やすというものもあり、結果が異なっている。そこで著者らは、TAVRが周術期と術後の腎機能に及ぼす影響について調べ、腎機能の変化と2年後までの死亡の関係を検討するための後ろ向きコホート研究を実施した。

 組み入れ対象は、2008年11月5日から2019年12月31日までに、著者らが所属する大学附属の三次医療施設でTAVRを受けた連続する患者全員とした。その中から、ベースライン(TAVR前の2日間)と、TAVRから1カ月後までの腎機能に関するデータが得られた患者を分析対象にした。TAVRを受ける前から透析を実施していた患者、術後1カ月以内に死亡した患者、1カ月後も入院したままの患者などは除外した。経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の適応があるとみなされた患者の場合は、同時治療は行わず、少なくともTAVRの2週間以上前にPCI治療を実施して、腎機能を確認することにした。

 腎機能評価は、ベースラインと、TAVRから48時間後、TAVR治療後の退院した時点、およびTAVRから1カ月後の時点でeGFRを計算し、ステージ3に該当する60mL/分/1.73m2未満ならCKDと判定した。ベースラインでCKDだったが、TAVRから1カ月後に60mL/分/1.73m2以上になっていた患者をCKDから回復とし、ベースラインではCKDではなかったが、TAVRから1カ月後に60mL/分/1.73m2未満になっていた患者を新規発症CKDとした。

 急性腎障害(AKI)については、改訂Valve Academic Research Consortium 2(VARC2)基準に基づいて判定し、AKIなし、AKIから回復(TAVRから48時間以内にAKIを発症したが退院までには回復した場合)、AKIが持続(TAVRから48時間以内にAKIを発症し、退院までに回復しなかった場合)に分類した。

 TAVR後1カ月のeGFRの変化は、腎機能が向上(eGFRがベースラインに比べ10%以上増加)、腎機能が悪化(10%以上減少)、腎機能は安定(eGFRの増減が10%未満)とした

 主要評価項目は治療から2年間の追跡中の総死亡率とした。

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