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JAMA Network Open誌から
イブプロフェンは小児入院患者のAKIを増やす
中国の小児入院患者約5万人を調べたコホート研究

 中国南方医科大学のLicong Su氏らは、中国の大規模コホート研究Epidemiology of AKI in Chinese Hospitalized Patients(EACH)studyのデータを利用して、小児の入院患者が急性腎障害(AKI)を発症するリスクを検討。イブプロフェンの使用が入院中のAKIのリスクを増加させていたと報告した。結果は2021年3月4日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 AKIは入院患者によく見られる合併症の1つだが、死亡リスクの上昇や入院期間の延長など、有害な転帰と関係する。成人での発症率は11.6~18.3%、小児では19.6~26.9%と報告されている。院内発症AKIの一般的な原因の1つが腎毒性がある薬の処方で、特にICUに入院している小児患者のAKIリスクを高める。

 非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)のイブプロフェンは、発熱、術後疼痛、腫瘍、炎症性疾患などいろいろな場面で小児に処方される。イブプロフェンはシクロオキシゲナーゼ活性を阻害し、プロスタグランジンの合成を抑制する。これにより、腎臓の輸入細動脈が収縮し、腎血流量が減少するため、前腎性AKIのリスクが上昇すると考えられている。しかし、小児へのイブプロフェンの使用とAKIの関係について検討した、大規模で質の高い研究はなかった。そこで著者らは、中国の病院に入院している小児患者を対象として、イブプロフェンの投与と、AKIの院内発症の関係を検討するコホート研究を行った。

 入院患者のAKIに関する疫学研究のEACH試験には、2013年1月1日から2015年12月31日までに中国の大学病院25施設のいずれかに入院した304万4023人の患者が登録されている。この中から年齢が生後1カ月から18歳までで、複数回の血清クレアチニン(SCr)検査を行っていて、AKIの発症を判定可能な小児患者を選び出した。末期腎不全の患者、入院前からAKIを発症していたと考えられる患者、診断名コードが不明の患者などは除外した。電子健康記録から、年齢、性別、診断日、入院時と退院時の診断名、適用された治療、院内死亡、入院中の医療費の総額、SCr測定日と結果、処方記録などの情報を得た。

 ベースラインのSCr値は、入院の1カ月前から入院後3日間の初回Scr検査までの、全測定値の平均として算出した。KDIGOガイドラインに基づいて、AKIの発症は、SCr値が48時間以内に26.5μmol/L以上になった場合、またはベースラインから50%以上上昇した場合と規定した。

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