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JAMA Network Open誌から
大動脈解離の長期成績が好ましい降圧薬は?
β遮断薬、ACEIまたはARBがその他の降圧薬よりも有望

 台湾長庚大学のShao-Wei Chen氏らは、大動脈解離で入院後に生存退院した患者の降圧薬の選択と長期成績を調べるためのコホート研究を行い、β遮断薬、ACE阻害薬(ACEI)、ARBを長期使用した場合の成績が、他の降圧薬に比べ良好だったと報告した。結果は2021年3月3日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 大動脈解離の患者には、多くの場合、大動脈壁に対する負荷を減らし、大動脈の拡張や破裂を予防するために、長期にわたって薬物療法が行われる。しかし、治療薬の選択に役立つエビデンスは少なく、過去の観察研究や専門家の意見に基づいて判断されている。欧米と日本のガイドラインは、急性大動脈解離患者に対する第1選択薬として、β遮断薬を推奨している。また、最近では、レニンアンジオテンシン系の阻害薬が、大動脈瘤の進行と破裂を抑制することが報告されている。しかし、大動脈解離患者に、各種の降圧薬を投与した場合の長期成績を比較するランダム化比較試験は行われていなかった。

 そこで著者らは、台湾の国民健康保険研究データベースから、大動脈解離を起こした後に生存退院した患者を選び出して、β遮断薬、ACEIやARBを処方された場合と、その他の降圧薬を処方された患者を追跡し、長期成績を比較する住民ベースの後ろ向きコホート研究を実施した。

 2001年1月1日から2013年12月31日までに初回の大動脈解離と診断され、生存退院してから90日以内に慢性疾患として、(1)ACEIまたはARBを処方された患者、(2)β遮断薬を処方された患者、(3)その他の降圧薬を1種類以上処方されていた対照群の患者を選び出した。その他の降圧薬は、Ca拮抗薬、α遮断薬、サイアザイド、ループ利尿薬、スピロノラクトン、血管拡張薬、硝酸薬などとした。なお、レニンアンジオテンシン系阻害薬とβ遮断薬を併用していた患者は、どの薬の効果が分からなくなるので除外した。

 主要評価項目は、総死亡、大動脈解離または大動脈瘤による死亡、主要脳心血管イベント(MACCE; 急性心筋梗塞、脳卒中、心血管死亡)、大動脈手術、再入院、永続的な透析の開始に設定した。追跡は、終了予定日(2013年12月31日)、主要評価項目のイベントが発生、または患者死亡のいずれかまで行った。

 共変数は、年齢、性別、併存疾患、Charlson併存疾患スコア、入院した病院の規模、最初の入院時の大動脈手術、その後の大動脈手術、心臓外科手術などとした。併存疾患は、大動脈解離と診断された前年に、2回以上の外来受診または1回以上の入院記録がある疾患とした。

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