日経メディカルのロゴ画像

JAMA Pediatrics誌から
小児のPPI使用は喘息発症リスクを増やす
スウェーデンの大規模コホート研究で2歳未満は特に要注意

 スウェーデンKarolinska研究所のYun-Han Wang氏らは、小児のプロトンポンプ阻害薬(PPI)の使用が喘息発症リスクと関連しているかを調べるコホート研究を行い、中央値3年間の追跡で、PPI使用者は非使用者に比べ喘息発症リスクが増加していたと報告した。結果は2021年2月8日のJAMA Pediatrics誌電子版に掲載された。

 PPIは小児でも、胃酸関連疾患に対する第1選択薬として用いられている。PPIを使用する小児が増える一方で、この薬が小児の喘息リスクを増加させる可能性に対する懸念が高まっていた。喘息患者では、腸内細菌叢の乱れや多様性の低下が症状再燃を引き起こすことが知られており、PPIは胃酸分泌の抑制を通じて、腸と肺の細菌叢を変化させることにより、喘息に影響を与えることが考えられる。しかし、幅広い年齢の小児に対するPPIの使用が、喘息リスクに及ぼす影響は明らかではなかった。そこで著者らは、スウェーデンの17歳以下の小児を対象に、PPIの使用と喘息リスクの関係を検討するコホート研究を計画した。

 スウェーデンの全国医療データベースを用いて、2007年1月1日から2016年12月31日までにPPIの使用を開始した18歳未満の小児を同定した。次にPPI使用者1人につき30人まで、年齢が同じ非使用者の小児を選び出した。この中から、最近傍マッチング(greedy nearest neighbor matching)で傾向スコアの差が最も小さい組み合わせを1対1の割合で選び出し、コホートに組み入れた。既に喘息の病歴がある小児、喘息以外の呼吸器疾患がある小児、3カ月以内に肺炎を起こした小児、H2ブロッカーの使用者などは組み入れから除外した。

 主要評価項目は、PPI使用開始日以後の喘息の発症とし、医療機関を受診して喘息と診断されたか、喘息治療薬の処方開始記録で判定した。追跡はコホート組み入れ日から、初回の喘息発症まで、3年間を経過するまで、COPDの診断、国外への移住、患者の死亡、終了予定日(2016年12月31日)のいずれかまで継続した。

 母集団の対象になるスウェーデンの小児は310万5726人いた。このうちPPIの使用を開始した小児は10万5234人だった。既に喘息の病歴がある小児などを除いた8万1452人のPPI使用者と、184万8092人の非使用者から、傾向スコアがマッチする8万870組のペアを選び出した。分析対象者の平均年齢は12.9歳(標準偏差は4.8歳)、63.0%が少女だった。

この記事を読んでいる人におすすめ