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JAMA Neurology誌から
アルツハイマー病の新薬候補で認知機能が低下
治療中止から6カ月で機能は回復したものの、atabecestatの開発は中止に

 βセクレターゼ阻害薬のatabecestatを、アミロイドβの沈着が進んでいる発症前のアルツハイマー病患者に投与したフェーズ2b/3試験EARLYは、プラセボ群に比べ高用量atabecestatを投与された患者の認知機能が低下するという想定外の結果になり、開発は中止された。米国Brigham and Women's HospitalのReisa Sperling氏らは、臨床試験の結果を2021年1月19日のJAMA Neurology誌電子版に報告した。

 βセクレターゼ-1(BACE-1)は、アミロイド前駆体蛋白質を切断し、アミロイドβを生じさせる酵素だ。先に行われた研究では、これを阻害する治療がアルツハイマー病患者、特に発症前の人々に利益をもたらす可能性が示されていた。atabecestatは、非選択的にβセクレターゼ1と2を阻害する経口薬で、Janssen Research & Development社と塩野義製薬がAD治療薬として開発を進めてきた。atabecestatを5mg/日または25mg/日投与すると、脳脊髄液中のアミロイドβ1-40レベルが52%から84%減少することが示されていた。

 フェーズ2b/3試験は、atabecestatが発症前のアルツハイマー病患者の認知機能の低下を抑制することができるかどうかと、安全性を評価する目的で行われた。1650人の組み入れを目標とした試験は、2015年11月に14カ国の143施設で始まったが、用量依存性の肝酵素の上昇が報告され、2018年5月に早期中止となった。この論文では、EARLY試験の安全性に関するデータを整理している。

 EARLY試験の対象者は、年齢が60~85歳、Clinical Dementia Ratingスコアが0の健康な成人で、脳脊髄液検査またはアミロイドPETスキャンで、脳のアミロイド増加が見られた人とした。既に認知症の診断や治療を受けている患者は除外した。

 条件を満たした参加者は、1対1対1の割合でatabecestat5mg群、25mg群、プラセボ群に割り付けた。層別化は、アポリポ蛋白Eε4の状態と参加国について行った。割り付けから6カ月ごとに臨床評価とMRI検査を行って患者の状態を追跡した。試験が中止になってから、さらに6カ月後にも評価を行った。

 有効性の主要評価項目は、Preclinical Alzheimer Cognitive Composite(PACC;高スコアほど認知能力は良好を示す)のベースラインから18カ月後の変化とした。PACCはzスコアに変換した。副次評価項目は、ベースラインから12カ月後のCognitive Function Index(CFI;高スコアほど障害は重症)の変化と、ベースラインから15カ月後のRepeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status(RBANS;低スコアほど障害は顕著)の変化などとした。これらのスコアは反復測定混合効果モデル(mixed-effects model-repeated measures)を用いて評価した。安全性は試験期間を通じて評価した。

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