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JAMA Intern Med誌から
オランダで安楽死を選んだ高齢者の特性を分析
安楽死を望む高齢者には転換点となる状況がありそう

 オランダの法律で認められている、安楽死または医師幇助による自殺(EAS)の対象のほとんどは、治る見込みのない高齢の癌患者だ。しかし近年、認知症や精神疾患、老年症候群の徴候を複数保持する(MGS)高齢者に対するEASの実施が増えている。オランダUniversity of Humanistic StudiesのVera van den Berg氏らは、EASに至ったMGS高齢者の特徴を分析し、MGSのみでなく、心理的、社会的、実存的な問題が、患者にEASを希望させたことを示唆するデータを得て、2020年12月7日のJAMA Intern Med誌電子版に報告した。

 オランダでは2002年に、医師がEASを行うことが法的に認められた。適用の条件は、安楽死に関する法律に示されおり、以下の全てを満たす場合とされている。すなわち、a)患者の要請は自発的になされたもので、十分に考慮されており、b)患者の苦痛が耐えがたいもので、改善の見込みはないと確信され、c)患者に現状と予後に関する情報が提供されており、d)患者と医師が、患者の状態に対する合理的な代替策はないという結論に達しており、e)1人以上の別の医師に相談し、その医師が患者を診察して、a)からd)までの条件が満たされていることを記した意見書を作製し、f)患者の生命を終結させる、または自殺を幇助する適切な処置が慎重に行われる場合、となっている。

 該当する症例は全てDutch Regional Euthanasia Review Committees(RTEs)に報告され、RTEsはEASに携わった医師が法律の基準を正しく実践したかどうかを評価している。MGSには視覚障害、聴覚障害、骨粗鬆症、変形性関節症、平衡障害、認知機能障害などが含まれる。RTEsのガイダンスでは、MGSの症状は、少なくとも一部の患者に、改善の可能性がない、耐えがたい苦痛を与える可能性があるとされている。オランダの社会はMGS患者に対するEASが受け入れつつあるが、オランダの医師の多くは、MGS高齢者に対するEASは末期癌患者などと比べ、倫理的にも、法的にも、また医療の面からも、非常に複雑な問題と考えている。

 そこで著者らは、そうした疑問に関する議論を容易にするため、EAS要請に関係するMGS患者の特性を明らかにし、症状の蓄積と患者が置かれた環境が耐えがたい苦しみと関係していたかどうかを検討しようと考えて、この研究を計画した。

 2013年1月1日から2019年12月31日までにRTEsに報告されたEAS症例のうち、MGSに分類された症例を分析することにした。この間のオランダでは、1年間に約15万人が亡くなり、5000~6000人がEASとして報告され、そのうち200件前後がMGSに分類されている。期間中にMGSに分類された1605例のうち、53件のケースサマリーが匿名化されてウェブサイトに公開されたため、評価を行った。

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