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JAMA Network Open誌から
DKA患者への輸液は生理食塩水より調整晶質液
2件のクラスターランダム化試験からDKA患者のサブグループ解析

 米国Vanderbilt大学医療センターのWesley H. Self氏らは、救急受診患者(SALT-ED試験)とICU入院患者(SMART試験)を対象に、生理食塩水の輸液と調整晶質液の輸液の治療成績を比較した2件のクラスターランダム化試験のサブグループ解析を行い、糖尿病ケトアシドーシス(DKA)患者に対する急性期の治療には、調整晶質液を用いた方が回復が早かったと報告した。結果は2020年11月16日にJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 DKA患者に対する輸液療法には、生理食塩水が用いられることが多いが、生理食塩水の塩素濃度はヒトの血漿濃度よりも高いため、大量に輸液を行うと高クロール性代謝性アシドーシスが生じる可能性がある。一方、乳酸リンゲルやPlasma-Lyte Aなどの調整晶質液は、塩素濃度をヒトの血漿濃度と同様に調整してあるため、代謝性アシドーシスを誘発しないと考えられる。しかしながら、理論的にはアルカローシスや高カリウム血症につながる可能性もあり、DKA患者の治療には、調整晶質液と生理食塩水のどちらを用いるべきかは結論が出ていない。

 そこで著者らは、Vanderbilt大学関連施設で実施された2件のクラスターランダム化試験のデータから、DKA患者を対象にしたサブグループ解析を行うこととした。どちらもVanderbilt大学関連施設を救急受診した患者が対象で、回復して一般病棟に移った患者を対象にしたのがSaline Against Lactated Ringer's or Plasma-Lyte in the Emergency Department(SALT-ED)試験、救急部門からICUに入院した患者を対象にしたのがIsotonic Solutions and Major Adverse Renal Events Trial(SMART)試験だ。2つの試験は2016年1月1日から2017年3月31日まで行われた。

 今回の研究は、2つの試験に参加した患者の中から、DKAで救急受診した成人患者を対象にしたサブグループ解析だ。組み入れ条件は、受診時にDKAと診断され、血糖値が250mg/dLを超えており、重炭酸イオン濃度が18mEq/L以下、アニオンギャップは10mEq/Lを超えている患者とした。他の医療機関から移送された患者で、到着前に輸液を受けていた患者は除外した。また心臓ICUと脳神経ICUは、救急部門と反対の輸液が割り付けられていたため、サブグループ解析から除外した。

 どちらの輸液を用いるかは、カレンダー月ごとに交換して治療に当たった。調整晶質液が割り付けられた月に、乳酸リンゲルとPlasma-Lyte Aの選択は担当医に任せた。生理食塩水と調整晶質液は体液量増加のために使い、インスリンの調整などその他のDKA管理は、米国糖尿病協会(ADA)のコンセンサス声明に従った。

 主要評価項目は、救急部門受診時からDKA解消までの時間とした。判定にはADAの基準を用いて、血糖値が200mg/dL未満で、以下の3項目のうち2つを満たした場合に解消と判断した。血漿重炭酸イオン濃度が15mEq/L以上、静脈血pHが7.3超、アニオンギャップが12mEq/L以下。副次評価項目は、輸液開始からインスリン持続投与中止までの期間に設定した。

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